2018 Fiscal Year Annual Research Report
Study of recognition mechanism on glycan-biosynthesis in the Golgi by means of chemically synthesized homogeneous glycoproteins
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17H01214
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
梶原 康宏 大阪大学, 理学研究科, 教授 (50275020)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 あやの 岡山大学, ヘルスシステム統合科学研究科, 准教授 (40303002)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 糖タンパク質 / 糖鎖 / ゴルジ体 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖ペプチドの合成法について昨年度から引き続き検討し完成させた。この方法では、芳香族性アルデヒド化合物にアルキルチオールを付加させたものを補助基として用い、糖鎖アスパラギンのN末端のアミノ基に還元的に導入し、糖鎖アスパラギンのN末端、およびC末端にペプチドを導入することができた。 また、ペプチドチオアシッドと糖鎖アスパラギンチオアシッドを反応させる新規糖ペプチド合成法を確立した。この反応は、地球に生物が誕生する前にポリペプチドが、偶然、火山性ガスと鉄鋼石で作られた機構を示唆するものとなった。また、GlcNAcを末端に2つもつ複合型2分枝糖鎖をもつモデル糖タンパク質CCL-1をゴルジ破砕液に導入し、糖鎖の3分枝目の形成に必要なGlcNAcの転移およびガラクトース、フコースの転移を追跡した。その結果、これら3種類の糖の転移が競争的に起こり、かつ、タンパク質面の疎水性、親水性のバランスを認識して糖鎖伸長が起こっていることを示唆する結果を得た。また、糖鎖が水和し特異な水和殻、すなわち排除体積を形成していることは長く示唆されているが、本研究の実験を通してその存在、ならびにその体積を見積もる方法を見出した。 コレラ毒素Bサブユニットは、無毒であるが、細胞内へ取り込まれ膜輸送経路を経て細胞質へ輸送される。昨年度までの成果では、導入する糖タンパク質を蛍光基で直接標識していたが、本来結合していない蛍光基がつくことで、追跡に支障がでることも考えられたので、新しい方法を検討した。その結果、HiBiTタグ付けしたコレラ毒素Bサブユニット(以下改変CTxB)を、HiBiTタグの特異的な結合により発光するタンパク質であるLgBiTが小胞体やゴルジ体に特異的に発現する細胞株(本研究で新たに作成)に取り込ませ、時間依存的に発光が増加することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでの検討で、ゴルジ破砕液の単離、必要な糖タンパク質の新規合成法の確立、合成した糖タンパク質のゴルジ装置への外部からの導入法を確立した。また、糖タンパク質上の糖鎖がどの程度のタンパク質表面の疎水面を水和させることができるか定量する方法を見出した。この発見は当初予想していなかったもので、最終年度への応用が期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの検討で、ゴルジ破砕液の単離、必要な糖タンパク質の新規合成法の確立、合成した糖タンパク質のゴルジ装置への外部からの導入法を確立した。最終年度はこれら方法を用いてN型糖鎖伸長の機構を調べる研究を更に発展させる。また、糖タンパク質上の糖鎖がどの程度のタンパク質表面の疎水面を水和させているかその定量結果を用いて、糖タンパク質の糖鎖の機能、ゴルジ体での糖鎖伸長機構の解明に迫る。
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