2017 Fiscal Year Annual Research Report
弾性率制御ハニカム多孔膜とラマン計測による幹細胞のメカノトランスダクション解明
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17H01223
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藪 浩 東北大学, 材料科学高等研究所, 准教授 (40396255)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
西浦 廉政 東北大学, 材料科学高等研究所, 教授 (00131277)
加藤 竜司 名古屋大学, 創薬科学研究科, 准教授 (50377884)
中嶋 健 東京工業大学, 理工学研究科, 教授 (90301770)
松尾 保孝 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (90374652)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 自己組織化 / ハニカムスキャフォールド / ラマン散乱 / 原子間力顕微鏡 / 幹細胞 / フェイズフィールド |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は①孔径の異なるハニカムスキャフォールドのサンプルワークと②原子間力顕微鏡(AFM)を用いたフラット、ハニカムフィルムの表面弾性率の測定、③ハニカムスキャフォールド上でのヒト間葉系幹細胞(hMSC)の培養、④磁場応答性を持つラマン散乱微粒子の作製、および⑤理論モデルの構築に向けた検討を行った。 ①については、孔径2ミクロン~20ミクロン程度のハニカムスキャフォールドをポリブタジエンおよびポリスチレンから作製し、②、③の測定、培養に提供を行った。②については、AFMを用いた表面弾性率測定により、フラット中にも弾性率の異なる海島構造が存在すること、孔径により表面弾性率が変化することが観察された。また、③については、様々な孔径のハニカムスキャフォールド上でhMSCが培養できることを確認した。④については、磁性ナノ粒子をコアに、直径20nm~80nmの金ナノ粒子をシェルに持つナノ粒子-ポリマーコンポジット微粒子の作製に成功し、金ナノ粒子の充填構造によってプラズモン吸収波長がレッドシフトすること、金ナノ粒子の粒径によって可視光~近赤外の領域でプラズモン吸収波長が制御できることを明らかとした。さらに50nmの金ナノ粒子をシェルに持つ粒子は、近赤外光励起により吸着分子の表面増強ラマン散乱を著しく増強できることを明らかとした。また、磁性ナノ粒子をコアに担持しているため、外部磁場により空間的な位置制御が可能であることも証明した。⑤については、フェイズフィールドや剛体-バネモデルを用いた細胞の運動性に関しての情報収集を行い、外部刺激による幹細胞分化をシミュレートするモデル構築の検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今までのところ、当初の予定通り、磁性を持ち、近赤外励起できるラマン散乱微粒子の開発に成功し、ハニカムスキャフォールドのサンプルワーク、表面弾性率の測定、幹細胞の培養を行い、理論的なモデル構築の準備ができているため、概ね順調に研究は進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の方針としては、磁場により抗体結合表面増強ラマン散乱粒子を時空間的に操作できることを確かめる。微小領域に磁場を制御するために、針状のネオジム磁石を機械加工により作製し、マイクロマニュピレータで操作する事により、時空間的に磁場を制御し、抗体結合表面増強ラマン散乱粒子の空間位置が制御できることを確認する。また、細胞培養においては、前年度までに確定した条件下において自動観察装置内でヒト間葉系幹細胞の培養を行いながらその活性について画像データおよび生物学的評価の蓄積をさらに進める。P(孔径)・ε(弾性率)などのスキャフォールドパラメータを変化させ、初期接着・培養初期・中期・コンフルエント期など、時系列でのシグナル伝達物質の空間分布を抗体結合SERS粒子からのシグナルを用いてイメージングを行う。hMSCの生物活性評価は、前年度構築のアルゴリズムによって非破壊評価(接着増殖率・細胞形態・移動度・接着率)について位相差顕微鏡から得られた画像情報解析を行うことで、1つ1つの細胞に対しての定量的高次元スコアを得て、P・εというスキャフォールドパラメータとの相関関係をマッピングする。単一細胞だけでなく、組織化した細胞集団についても時空間的なイメージングをすることで、細胞間の相互作用についても検証を行う。これらのデータを基にスキャフォールドパラメータと生化学的データの相関、おけるシグナル伝達物質と各生化学的データの時空間的相関を明らかとすることで、幹細胞分化のメカノトランスダクションにおける分子機序の解明を目指して、外部刺激による幹細胞分化機序に関する理論モデルの構築を進める。
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Research Products
(9 results)