2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of innovative prediction method of material microstructure by quantitative coupling of large-scale simulation and in situ observation
Project/Area Number |
17H01237
|
Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
高木 知弘 京都工芸繊維大学, 機械工学系, 教授 (50294260)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 宗一 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (30431331)
澁田 靖 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (90401124)
安田 秀幸 京都大学, 工学研究科, 教授 (60239762)
青木 尊之 東京工業大学, 学術国際情報センター, 教授 (00184036)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | フェーズフィールド法 / 分子動力学法 / その場観察 / データサイエンス / 凝固 / 材料組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,大規模フェーズフィールド(PF)計算を基軸とし,SPring-8によるその場観察と大規模分子動力学(MD)計算の三つの最先端研究をデータサイエンスにより融合し,定量的かつ高精度な革新的メゾスケール材料組織予測アプローチの構築を目指すことを目的としている.この目的を達成するために,本年度は下記の作業を行った. (1) 二元合金凝固時の熱溶質対流を考慮可能なPF格子ボルツマンモデルを構築し,GPUスパコンTSUBAMEによる大規模シミュレーションを可能とした.この際,時間増分と空間格子間隔を方程式毎に変える手法によって,従来手法に比べて100倍以上の計算高速化を達成した.また,これとは別に,複数GPU計算において動的負荷分散を導入したアダプティブメッシュ法を適用し,2次元計算の高速化を達成した. (2) 液相内の複数の等軸デンドライトが,強制対流や密度変化によって運動しながら成長し,衝突と合体を経て多結晶化する過程を再現するPFモデルを構築し,複数GPU並列化することで2次元大規模計算を可能とした.これによって液相内に孤立した等軸デンドライトの重力下における成長シミュレーションが可能となり,核生成メカニズム解明のためのツールが完成した. (3) 純鉄の等温過冷却凝固のMDシミュレーションを行い,この結果を観測データとすることで,PF法とアンサンブルカルマンフィルタ(EnKF)を用いたデータ同化による界面エネルギーの算出を可能とした.この際,先に構築した原子構造からPFプロファイルを得る方法を採用した. (4) 純鉄の3結晶系における粒成長のMDシミュレーションを行い,この結果を観察データとすることで,マルチフェーズフィールド(MPF)法とEnKFを用いたデータ同化による粒界エネルギーと粒界モビリティを同時に算出する手法を提案した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」の各項目に対する進捗状況は以下の通りである.幾つか課題はあるが,予定以上に進んだ内容もあり,全体的におおむね順調に進んでいると判断できる. (1) その場観察による観測データに対してデータ同化を行うためのマルチスケールPFモデルを構築し,複数GPU並列コーディングを行うことで大規模計算を可能とし,計画通りに研究を進めることができた. (2) Spring-8による一方向実験と同じ条件における3次元大規模PF解析は可能であったが,計算規模が大きくデータ同化を行うための系統的な評価を行うまでには至らなかった.そのため,大規模計算の効率化を図るために,マルチレベル時間&格子法および並列計算における動的負荷分散を導入したアダプティブメッシュ法を並列GPUコードに導入し,データ同化を行う準備を完了した.また,MD計算による凝固計算結果を観測データとするデータ同化を行い,MD凝固計算から界面異方性物性を取得する方法を構築した. (3) 核生成挙動に関する研究については,複数デンドライトの運動を伴う成長の表現を可能とするPFモデルの構築と,並列GPU計算による大規模計算法を構築した.一方で,具体的なメカニズム解明の作業には着手できておらず,核生成現象に関しては少し遅れ気味である. (4) 固液界面物性に加え,固固界面である粒界の異方性物性を取得するための,MDとMPF法を用いたデータ同化法を新たに提案した.本研究内容は当初予定には含まれていなかったが,固液界面物性取得の成功を得て新たに追加した.このため,予定より進んだ成果といえる.
|
Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進捗状況」にあるように,研究はおおむね順調に進んでいるため,当初の予定通り下記の内容を行う. (1) MDとPF計算による固液界面物性の推定を高精度化するために,これまで以上に大きな領域における凝固核成長のMD計算を行い,EnKFによるデータ同化を行う.また,本結果を精査し手法の有用性を示す.また,MDによる系統的粒成長シミュレーションを行い,MPF計算とEnKFによるデータ同化によって異方性粒界物性を取得する. (2) 薄膜内の一方向凝固のその場観察結果に対して,3次元PFシミュレーションによるデータ同化を効率的に行うために,3次元アダプティブメッシュ法を開発し,さらに複数GPU並列化を行う.これを用いて,EnKFを用いたデータ同化を行う. (3) デンドライト成長時のフラグメンテーションを再現可能な3次元大規模PFシミュレーションを可能とし,シミュレーションを行うことでフラグメンテーションのメカニズム解明する.また,系統的なフラグメンテーションシミュレーション結果をデータベース化し,機械学習による凝固組織微細化の最適化を図る. (4) これまでの研究成果をまとめ複数の論文を執筆&投稿することで,広く社会に研究成果を公開する.また,最後に研究を総括し,今後の研究の方向性を検討する.
|
Research Products
(44 results)