2017 Fiscal Year Annual Research Report
Lightweight and Smart Hybrid Materials by Low Temperature Ambient Bonding
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17H01275
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Research Institution | National Institute for Materials Science |
Principal Investigator |
重藤 暁津 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 主幹研究員 (70469758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水野 潤 早稲田大学, ナノ理工学研究機構, 上級研究員(研究院教授) (60386737)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ハイブリッド接合 / 低温 / 大気圧 / 軽量構造材料 / 電子実装 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,“センサやアンテナ機能を内包したハイブリッド軽量構造材料”の構築を目的として,有機構造材料,金属構造材料,ならびに電子基板材料の低温大気圧一括接合技術を確立する.代表的材料としてポリエーテルエーテルケトン,Tiなどの軽量金属構造材,Cu,Si, GaN,ポリイミドなど半導体基板材を挙げ,これらの材料に汎用的な極薄架橋層を形成し,組み合わせを問わない接合を得る.手法としては水やアルキル酸などの架橋性物質を含有した雰囲気で真空紫外光を照射して極薄架橋層を形成し,低温加熱での縮合反応や体拡散を利用する.H29年度は,架橋層の成長挙動を明確化した後,基礎的な接合実験を行った.また,応用性検証用の装置の設計を開始した.
極薄架橋層の形成条件最適化については,上記各試料に対し,真空紫外光照射条件を変えて化学結合状態ならびに皮膜厚の変化を検証した.その結果,本研究で提案された表面改質手法は,従来の高真空中でのビーム衝撃と異なり,有機材料表面の主鎖構造へのダメージが小さいことや,数nm以下の厚さの皮膜でも十分に結合に寄与する官能基が形成されることを証明した.また,皮膜成長速度は設定したパラメタに比例し,プロセス制御性に優れることも判明した.膜厚が最大になる条件を用いて接合実験を行った結果,有意な空隙を含まない密着した界面が全ての材料の組み合わせで得られた.機械的強度は母材破断と同等であった.また,大面積かつ既存の工業生産機器への応用可能性を検証するためのRole-to-Role装置の基本的な設計を外部メーカーの協力の下で開始した.
本年度の表面状態解析結果はLangmuirなどの国際的に評価の高い学術誌に論文が掲載された.また,今年度の内容を発展させたものを,機能性界面設計方法として今後出願予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初のH29年度研究計画は 1) 極薄架橋層の形成条件最適化と基礎的接合実験,ならびに2) 応用性検証のための装置設計(H30年度に継続),であった.研究実績の概要欄に記述した通り,1) については,軽量かつスマートな構造材料を構成するために必須な代表的材料の組み合わせ全てについて適切な表面改質条件を明らかにしたほか,機械的に十分な強度を有する接合性を確認した.また,2)については,A4サイズ程度の有機-無機ハイブリッド接合を行うためのRole-to-Roke装置の設計をほぼ終了した.これらの成果は後述の学術論文や依頼講演などで公表されているほか,所属研究部門の主要な研究成果の一つとして挙げられるなど,対外的に評価を得ている.また,1)の検討中に,界面の接合性と長期信頼性を同時に両立する新たな構造の可能性が見出されたため,これについても詳細な検討を行い,権利化に進む予定である.以上のことから,当初の計画通りに研究が進行していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
H30年度は接合体の機械的電気的性能調査と信頼性評価を行い,界面の微細構造の経時的変化との関連を明らかにする.H31年度以降は応用可能性の検証を中心に行う.H30年度は,まず前年度と同様に単純薄板・薄膜試料を用いて全ての材料の組み合わせで接合実験を行い,接合界面の微細構造解析を行う.透過電子顕微鏡や電子エネルギー損失分光法を用いて架橋層形成条件の違いが界面微細構造に及ぼす影響を解析する.接合達成直後の極薄架橋層は周辺領域とは異相になり,架橋層内部では接合達成後も経時的に母材原子の相互拡散が発生するので,界面の安定化挙動を観察する.これに加え,前年度に見出した接合性と信頼性を両立する架橋層構造の権利化を目的とし,企図した通りの架橋層が形成されていることを実証する.次に,得られた接合体に対して引張や剪断などの機械的強度試験を施し,真実接触強度を見積もる.一般的に,硬軟材料の組み合わせのハイブリッド接合界面破断の進展位置は特定しづらく真実強度の見積が難しいので,破断面の接合痕跡,すなわち“見かけ”の接合面積を利用した計算モデルを構築する.また,各種工業基準に基づいた試験を施し,経時的信頼性も評価する.さらに,前年度着手したRole-to-Role装置試作を完了する.時間的な余裕があれば,H31年度以降に行う実働構造を有する材料の接合界面について,接合界面での破壊進展挙動を非破壊でその場観察するための機構を,既存OBIRCH装置を基に考案する.
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Research Products
(9 results)