2017 Fiscal Year Annual Research Report
Finite-length analysis with computation complexity
Project/Area Number |
17H01280
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
林 正人 名古屋大学, 多元数理科学研究科, 教授 (40342836)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田山 正 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20275374)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 有限長評価 / LDPC符号 / 安全性評価 / 衛星通信 / 量子通信 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,計算コストを考慮した有限長理論の新たな応用先として,計算-転送方式への応用に取り組んだ.計算-転送方式は,ネットワーク符号を物理層で行うもので,衛星通信を組み合わせることで有効に機能すると考えられている.例えば,遠隔の2者が衛星を経由した通信を行う場合,中継器である衛星において,双方のメッセージを復号化し,転送するよりも,中継器が両者のメッセージのmodulo和だけを転送することで,より効率的な中継が可能となることが知られている.しかし,従来研究では,Nazar とGastparによる格子符号を用いた方式が提案されているものの,その方式は計算量の観点から実用的があるとは言い難いものであった. 本研究では,LDPC符号を用いて計算-転送方式のための符号の提案を行った.信号点配置としてBPSK方式を採用し,仮想的degraded 通信路に基づく復号の解析を行った.解析には密度発展法を用いた.計算-転送方式のもう1つの特徴は,中継器への情報漏洩を防ぐことが可能となる点である.一般に,中継器がそれぞれのメッセージを復号し,転送すると必ず中継器に情報が漏洩する.計算-転送方式では,中継器は,双方のメッセージのmodulo 和を転送すればよいので,中継器でそれぞれのメッセージを復号する必要がない.しかし,上述のLDPC符号を用いた方式を単純に適用した場合,中継器が受け取る情報と個々のメッセージとの間にはある程度の相関がある.そのため,この方式では中継器に対する情報漏洩が無いとは言えない.この問題を解決するために,LDPC符号に適切なHash 関数による秘匿性増強を組み合わせることを考えた.この問題をより詳しく扱うために,有限長の設定において漏洩情報量の評価も行った. この他,量子系での有限長評価としては,量子系を用いた物理乱数の生成効率に関する評価を有限長の枠組みで行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度は,計算コストを考慮した有限長理論の新たな応用先として,計算-転送方式に取り組むことができた.研究開始時には,このような応用は想定していなかった.このような展開は当初の予想を超えたものである.そのため,今後,当初の期待を超えた新たな発展が期待できる. また,量子系においても,有限長理論の新たな適用先として,量子系を用いた物理乱数の精度評価を開拓することができた.これらは,研究開始時において,想定してしていなかった展開である.
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Strategy for Future Research Activity |
現時点でなされている研究は,計算-転送方式を符号理論的に取り扱う際の基礎的なレベルに過ぎない.今後,計算-転送方式をより実用的な視点から研究することが求められる.そのために,衛星通信への展開が重要であることから,今後は衛星通信の研究者との共同研究を予定している.具体的には,欧州宇宙局の受託研究を実施しているバロセロナ自治大学のAngeles Vazquez-Castro教授や有限長の解析に強いシンガポール国立大がkのVincent Tan博士などの海外研究者との共同研究を予定している.これにより,より実用的な視点からの研究が期待できる. また,量子系の研究については,海外研究者との連携を強めることで,より多方面のへの展開が期待でるとともに,成果を国際的に強くアピールすることが期待できる.
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Research Products
(22 results)