住環境指標による、ＲＣ建築の耐震性能の新しい評価軸【提案と基礎データの収集】

2017 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 17H01306
• Research Institution: Osaka University
• Principal Investigator: 眞田 靖士 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (80334358)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 桃井 良尚 福井大学, 学術研究院工学系部門, 講師 (40506870)
• Project Period (FY): 2017-04-01 – 2020-03-31
• Keywords: 鉄筋コンクリート建築 / 機能維持限界 / 壁 / 気密性 / C値 / 流量係数 / 損傷 / ひび割れ

Outline of Annual Research Achievements

本研究は，ＲＣ建築が住機能を喪失する限界を，住環境指標「気密性」により定義することにより，耐震性能の新しい評価軸を提案することを目的としている．この目的を達成するため，下記を含む３年間の実験，解析研究を計画している．
研究初年度の平成29年度は，ＲＣ壁材の気密特性（損傷－気密性指標の関係など）を実験的かつ定量的に評価するため，【研究①】従来にない新しい実験法として気密性モニタリングが可能な静的載荷システムを開発すること，【研究②】本実験法を用いてＲＣ壁材の実験を実施し，その気密特性を取得することを計画した．
【研究①】では，JIS A 2201送風機による住宅などの気密性能試験方法に基づく気密性モニタリングと地震力を模擬した静的載荷を繰り返す新しい実験システムを開発した．具体的には，研究代表者の所属研究機関に既存の静的載荷システムを利用し，外部から気密性モニタリングが可能な移動式の気密測定室を接続することで，当初の研究計画を実現するための実験システムを構築した．
【研究②】では，【研究①】で開発した実験システムを用いて，ＲＣ壁材を模擬し，壁厚と配筋を変動因子とする実大要素試験体を計画，製作し，その気密特性（損傷－気密性指標の関係など）を評価した．その結果，とくにＲＣ壁材のひび割れの流量係数（一般開口よりも大幅に小さい）を実験的に取得することができ，ＲＣ建築の機能維持限界を定量化するために不可欠な基礎データを得ることができた．

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

平成29年度は概ね当初計画通りの研究を実施することができた．具体的な内容と現在までの成果は研究実績の概要を参照されたい．

Strategy for Future Research Activity

平成30年度は，【研究③】平成29年度の実大要素試験体の実験結果（気密特性）を解析的に評価することを試みる．また，引き続き，【研究④】ＲＣ集合住宅の方立壁を模擬する縮小試験体を対象に，平成29年度に開発した実験システムを用いた気密特性の評価実験を実施し，ＲＣ壁材の気密特性の実験データを蓄積する．これらの研究ではＲＣ壁材の気密特性に関係するスケール則にも着目して継続的に検討する．