2019 Fiscal Year Annual Research Report
酸化物半導体の新展開;ナローギャップウルツ鉱型酸化物の物質科学とデバイス化技術
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17H01315
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小俣 孝久 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (80267640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 一誓 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (60821717)
佃 諭志 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (00451633)
喜多 正雄 富山高等専門学校, その他部局等, 准教授 (00413758)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 結晶成長 / セラミックス / 先端機能デバイス / 光物性 |
Outline of Annual Research Achievements |
高品質β-CuGaO2薄膜の作製プロセス開発を継続した。これまで行ってきたミストCVD法による薄膜の作製方法では、β-CuGaO2の前駆体となるβ-NaGaO2を繰り返し再現性良く堆積することが難しいことが明らかとなった。これに対処するため、(i)ミストCVD装置の大規模改良、および、(ii)β-NaGaO2をターゲットとしたパルスレーザー堆積法(PLD)によるβ-NaGaO2薄膜の作製を行った。装置の改良については、マイクロヒーターを使用し基板の直接加熱による基板温度の安定化と均一化、基板の下面に薄膜を堆積するdepo-upの導入、ミストの予備加熱により再現性の良い薄膜の堆積が可能になりつつある。(ii)PLD法による薄膜の堆積では、相対密度95%以上のターゲットに使用、基板の高温酸化雰囲気でのクリーニングなどにより再現性の良い薄膜の堆積が可能になりつつある。 βNaGaO2薄膜のイオン交換によるβ-CuGaO2の作製においては、従来のCuCl蒸気に曝す方法に加え、CuCl粉末を分散した高沸点有機溶媒中に薄膜を浸漬する方法を見出し、質の良い前駆体β-NaGaO2が得られれば直ちにイオン交換によりβ-CuGaO2とする技術が確立できた。 前年度から行ってきたXPS法によるβ-CuGaO2とn型ZnO、およびp型のα-CuGaO2とのバンドアラインメントの研究を完了した。β-CuGaO2の価電子帯頂上はAlドープしたZnOの価電子帯の2.6eV高い位置に、伝導帯底部は0.7eV高い位置にあり、これらはtype-IIの接合を作ることが明らかとなった。一方、同じCu3d軌道が価電子帯の上部を構成するα-CuGaO2とは価電子帯頂上のエネルギーはほぼ同じ(α-CuGaO2が0.15eVエネルギーが高い)であることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
質の高い前駆体薄膜の作製においては少し遅れがみられるが、前駆体を目的物質に変換する、新たな、かつ、安定したイオン交換技術を見出すなど、前駆体が得られた後のプロセスにおいて想定外の進捗があった。電子構造の視点からの目的物質の太陽電池材料としてのポテンシャルの解明は順調に進んでおり、全体としては順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
p-n接合の形成に必要な伝導性制御のための検討をミストCVDとPLDの2つの手法で実施する。これにより研究を加速し、本研究の目的を達成する。
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Research Products
(7 results)