2018 Fiscal Year Annual Research Report
Development of real space charge density mapping method using atomic-resolution DPC STEM and its application to material interfaces
Project/Area Number |
17H01316
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
柴田 直哉 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (10376501)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 亮 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (20734156)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 走査透過型電子顕微鏡法 / 材料界面 / 電荷密度 / 微分位相コントラスト法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、申請者らが近年開発した原子分解能DPC STEM法をベースとして、材料局所領域の電荷密度分布を原子レベルで実空間マッピングするための新たな電子顕微鏡法を開発する。更に、この手法を無機材料界面構造解析に応用することで、異種結晶間の界面形成メカニズムを原子・電子スケールから本質的に明らかにすることを最終的な目標としている。 本年度は、原子分解能DPC STEMの定量観察により、原子電場を定量的に可視化し、その情報から原子スケールの電荷密度分布の直接観察が可能かどうか、実験及び理論計算を用いて検証した。その前段階として、ノイズを加味した解析を行い、ノイズを取り入れた像理論を構築し、原子分解能DPC STEM法と他の手法を比較し、その優位性の検証に成功した。モデル試料としてGaN結晶を用いて、その原子電場像から電荷密度分布像を形成した。その結果、原子中心の正電荷を持つ原子核と負電荷をもつ電子雲の実空間観察に成功した。結合を担う電子に関しても原理的には観察が可能になると考えられるが、現状では分解能、装置安定性、検出器感度などの問題で今後の課題になると考えられる。更に、DCT法を用いたポテンシャル再生なども可能になり、試料が十分薄い条件では、原子レベルのポテンシャル、電荷密度分布観察が可能であると考えられる。その真価を検証するため、グラフェンの原子電場直接観察を試みた。その結果、単原子レイヤーであるグラフェンの原子周囲の電場分布を直接観察することに成功し、その空間分布、強度が原子の配位環境、すなわち結合と密接関連すること示唆された。更に、酸化物の清浄表面に貴金属ナノクラスターを形成する技術を構築し、モデル的な金属微粒子/セラミックス界面の作製に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成30年度は①原子分解能DPC STEM法による原子電場定量解析手法の確立、②原子分解能DPC STEM法による局所電荷密度分布直接観察法の開発、③原子分解能 DPC STEM法の像形成理論解析、④モデル界面作製と原子分解能DPC STEM構造解析を並行して行い、いずれの項目についても一定の成果を得ることができた。特に、①、②、③に関してはハイインパクトな論文発表も行っており、計画以上に進んでいる。④に関しては、試料作製が確立しつつあるため、来年度の界面観察に応用する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、引き続き各研究を鋭意推進するとともに、最終年度にあたりこれまでの成果を取り纏め、原子分解能DPC STEMに基づく実空間電荷密度マッピング法を確立し、材料応用展開は進めていく。得られた知見に関しては、適宜論文、学会発表などで外部報告する予定である。
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