2017 Fiscal Year Annual Research Report
Bio-compatibility of metallic biomedical materials with surface nano modification
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17H01332
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
藤本 愼司 大阪大学, 工学研究科, 教授 (70199371)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
土谷 博昭 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (50432513)
宮部 さやか 大阪大学, 工学研究科, 助教 (50584132)
廣本 祥子 国立研究開発法人物質・材料研究機構, 構造材料研究拠点, 主幹研究員 (00343880)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 腐食防食 / 生体材料 / 模擬生体環境 / ステンレス鋼 / 細胞培養 / 電気化学 / 腐食疲労 / 摩耗腐食 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は生体環境における医療用金属材料の腐食反応を数値解析するための予備的検討を実施するとともに、主として模擬生体環境において生じる腐食に及ぼすカソードサイトの影響を明らかにすることを目的に、腐食疲労挙動および摩耗腐食挙動を検討するとともに表面酸化物の電子物性を調査した。腐食疲労および摩耗腐食においては試験片と同一の模擬カソード材料を接続し、腐食疲労試験、摩耗腐食試験中に電位を計測するとともに、試験片と模擬カソード材料間に流れる電流を測定した。その結果、腐食疲労試験においては試験片・模擬カソード材料間の電流は荷重変調に概ね追随して変化した。また試験中の電位は試験片単独で腐食疲労試験を行った場合と比較して、模擬カソード材料と接続した場合に、より貴となった。さらに破断までのサイクル数は増加した。摩耗腐食試験において、試験片と模擬カソード材料間に流れる電流は時間の経過とともに変化することが分かった。摩耗腐食試験終了後の試料表面形状から見積もった、試験中に生じた体積損失は、模擬カソード面積比が大きくなるに従い増大した。また培地にFBSを添加すると、体積損失が減少することも明らかとなった。試験中に計測した電流から電気化学的に溶解した体積を算出すると、体積損失に占める割合は極めて小さいことも分かった。以上の結果より、模擬生体環境での医療用金属材料の変形に伴う劣化に、変形が生じない部位での反応が大きな影響を及ぼし得ることが明らかとなった。 一方、表面酸化物の電子物性がカソードサイトで生じる反応に及ぼす影響を電流制御分極法により調査した。試料表面に急速なカソード電流を印加することによる電位応答を評価することにより、医療用金属材料が損傷した際のカソードサイトでの反応を調査した。その結果、表面皮膜の電子物性のみでなく、タンパク質や細胞の吸着も酸素還元反応に影響しうることを見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
模擬生体環境において変形または摩擦を生じた際の医療用金属材料の劣化に、変形・摩擦を生じていない部位が大きな影響を及ぼすという、今後、腐食疲労・フレッティング腐食疲労特性の向上に向けた表面設計の指針となりうる重要な知見を得ることができただけでなく、その変形・摩擦を生じていない部位で生じうる酸素還元反応にタンパク質や細胞などの生体由来物質の吸着が顕著に影響することを見出すなど、今後の展開への基礎となる知見を得ることができたたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、繰り返し荷重負荷に摩耗の相乗が想定される部位を模擬した実験システムを構築し、医療用金属材料が晒される、より現実に近い環境を模擬して実験を行い、本年度得られた知見の更なる検証を行うとともに、変形・摩耗を生じている部位での反応にも着目した検討を行う。そのために、表面酸化物の組成・構造や電子物性と電気化学反応特性との関連についても深化させる。
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Research Products
(8 results)