2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H01336
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤原 航三 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (70332517)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
前田 健作 東北大学, 金属材料研究所, 助教 (40634564)
森戸 春彦 東北大学, 金属材料研究所, 准教授 (80463800)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 固液界面ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、融液成長過程における物質・材料の固液界面を直接観察することにより、融液成長メカニズムを解明することを目的としている。固液界面の温度場の情報は、融液成長において極めて重要であるために、本研究では、温度場を測定可能な「その場」観察装置を新規に導入する。具体的な研究実績について以下に記す。 1.温度場の直接観察装置の開発:平成29年度に、小型結晶成長炉と二色温度計を組み合わせた新規の「その場」観察装置を立ち上げた。本装置を用いて、Siの固液界面における温度場の測定実験を開始している。現在、温度補正の精密化を行っており、本装置を用いた実験は着実に進行している。 2.金属および半導体の固液界面不安定化の研究:平成29年度は、純アンチモン(Sb)および純銅(Cu)の固形界面不安定化について実験を行った。Sbでは、成長速度の増加に伴い、平坦な固液界面に揺らぎが発生した後、ファセット界面が形成される様子を明瞭に観察することに成功した。また、純Cuにおいては、原料の加熱中に表面酸化物が容易に形成されてしまうため固液界面の観察が困難であったが、原料の洗浄方法と炉内の雰囲気の最適化により、この問題を解決できた。純Cuの固液界面の観察より、亜粒界の粒界エネルギーを実験的に求めることに成功した。 3.シリコン(Si)の固液界面における双晶界面の形成メカニズム:Si多結晶の融液成長過程の直接観察実験により、粒界グルーブから双晶界面が形成される様子を観察することに成功した。粒界グルーブの角度によって核形成頻度が異なるため、固液界面における粒界部の成長挙動が粒界グルーブの角度依存性を持つことを明らかにした。粒界グルーブの角度が鋭角の場合、グルーブ底での核形成頻度が低下するため、グルーブ内融液の過冷却度が大きくなり双晶界面が形成されやすくなることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成29年度は1)温度場の直接観察装置の開発、2)金属および半導体の固液界面不安定化の研究を行う予定としていた。1)に関しては、新規装置の導入が終わり、実際に固液界面の温度場測定の実験を開始したため予定通りに進行している。2)に関しては、金属の純Cuと半導体のSiだけでなく、当初計画に入れていなかった半金属のSbの固液界面不安定化実験も開始しており、当初の計画以上に研究が進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に導入した新規「その場」観察装置を用いて、固液界面温度場の測定実験を継続する。固液界面不安定化が生じる前後における温度場の変化を実験的に明らかにする。当初は金属と半導体に限定して研究を進める予定であったが、予定よりも研究が順調に進行していることから、対象物質を半金属や2成分系の材料(Bi-SbやCdTeなど)にも広げていく予定である。また、固液界面ダイナミクスの基礎研究で得られた知見を実際の結晶成長へと応用していくことも視野に入れている。
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Research Products
(9 results)