2020 Fiscal Year Annual Research Report
Low temperature catalysis by surface protonics promoted by an electric field
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17H01344
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
関根 泰 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20302771)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 表面プロトニクス / 電場中での触媒反応 / 不均一触媒反応 / 二酸化炭素再資源化 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、低温で温和な条件下でのアルカン活性化やCO2転換の研究に期待が集まっている。本科研費研究で我々は、これまで表面プロトニクスの学理を解明し、多様な反応への表面プロトニクスの展開を検討してきた。本年はこの電場中での表面プロトニクスによる触媒反応を活かして、CO2再資源化において5wt%のRuをCeO2に担持した触媒で343 Kという従来の加熱による触媒反応で活性を示さない低温域での反応を検討した。速度論的検討及びin-situ DRIFTSにより、この反応ではRWGSにより生成されたCOを中間体として経由する反応パスをとり、電場印加により従来の熱反応で生じていたCOによるRu表面の被毒が解消されていることが分かった。なお、この電場CO2メタネーションで用いられたRu/CeO2触媒については低担持量である0.5wt%Ru/CeO2ではCO2メタネーションよりも副反応であるRWGSが選択的に進行することを確認できたため、低担持量のRu触媒がRWGSに適していることが示された。Ru担持量を減らすことでRu粒子径を減少させると、それに伴ってRWGSの反応選択性が増加した。電場反応における温度や分圧などの特異的な依存性から本反応が熱による触媒反応と全く異なる反応メカニズムで進行していることが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
概要に記述の通り、二酸化炭素再資源化にウイングを拡げ、常温から200度程度の低温にて、速やかに二酸化炭素を再資源化し、2電子反応である逆水性ガスシフト、ならびに8電子反応であるサバティエ反応のそれぞれを、選択的に進めうる触媒プロセスを見出した。また、昨年度に引き続いて、メチルシクロヘキサンの脱水素への応用についても検討し、アナターゼチタニアを担体とする触媒が、高い表面プロトニクス性能を示し、低温でも高効率に反応を進めうることを見出した。これら多様な反応において、活性試験による高性能触媒の探索を皮切りに、分圧依存性や速度論的検討などをベースに、さらにはin-situ/operando DRIFTSや同XAFS、同位体交換試験などを行い、反応における各種学理を確立した。さらにそれらを基に、DFTによる計算化学での予測や、Pythonを用いたデータ解析と機械学習を取り入れ、より良い触媒開発につなげるというPDCAサイクルを作り、コロナ禍の中でも効率よく研究を進められるような新たな体系を創り出した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、さらにPDCAにおけるPの加速化を狙って、デジタルアニーラを用いた表面イオン伝導の評価手法などについても検討を着手する。触媒表面をイジングモデル化し、デジタルアニーラでの解析を可能とする。また、和周波分光(SFG)や、軟X線による表面酸素種の電場中での挙動についても、あらたに検討を行い、これまでに確立してきたSPring-8でのoperando XAFS(EXAFS/XANES)、in-situ/operando DRIFTS、交流インピーダンス法による表面イオン伝導測定などと組み合わせることで、その場で何が起こっているかを精密に観測解析し、PDCAにおけるAの部分の厚みをしっかりともたせた研究とする。これらによって、表面プロトニクスにおいて、構造・吸着・伝導・活性の4因子を、各種解析と計算・予測によってより良いものとするべく、研究を加速し、本研究の最終年度としての学理の確立、ならびに低温で高効率な多様な反応への応用の両方を仕上げる。
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