2018 Fiscal Year Annual Research Report
An advanced practical calculation method for maneuvering in waves, seakeeping performance, and structural responses of ships
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17H01357
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
柏木 正 大阪大学, 工学研究科, 教授 (00161026)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩下 英嗣 広島大学, 工学研究科, 教授 (60223393)
胡 長洪 九州大学, 応用力学研究所, 教授 (20274532)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 耐航性能 / 波浪中抵抗増加 / 船体表面圧力分布 / 波浪荷重 / 操縦性能 / 非線形流体力 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.船体表面での非定常圧力分布の計測水槽実験: 船体表面に貼り付けるタイプのFBG (Fiber Bragg Gratings) 圧力センサの改良版を333個使い,RIOSバルク船模型に働く線形非定常圧力の船体表面分布を求めた。波浪中抵抗増加の分布を求めることに焦点を当てて,静止水線面上にもFBGセンサを70個貼り付け,非定常圧力の時間平均値と定常航走時の定常圧力との差(圧力増加)の船体表面上分布,ならびにそれから抵抗増加の分布を求めた。これは波浪中抵抗増加の物理現象を圧力レベルで理解するための貴重なデータであり,世界で初めて実験的に得られたものである。その成果は2019年5月に予定されている国際会議では招待講演となっている。 2.船体表面圧力分布の積分による波浪荷重の算定: 上記の船体表面圧力分布と重量分布を用いると,ある横断面での波浪荷重(剪断力,曲げモーメント)も計算することができるが,それを実証するために,計測された圧力分布から縦曲げモーメントを求め,ランキンパネル法による計算結果と比較検討した。今後は時刻歴から直接波浪荷重を求め,非線形影響に関しての研究を進める予定である。 3.波浪中での船舶耐航性能・操縦性能に関する新しい計算法の開発研究: 操縦運動における波浪影響として最も重要な流体力は,波浪中抵抗増加,定常横力,定常回頭モーメントの精度良い算定であるので,それらの精度が船の波浪中旋回航跡にどの程度影響するのかを数値的に調べた。また,舵直圧力への波浪影響についても調べ,時間変化がゆっくりとした操縦運動では,波浪の影響は平均化されて殆ど影響ないことを確認した。 4.大振幅波浪中での船体運動における流体力の非線形性影響に関する研究: 大振幅波浪中での船体運動は非線形性がどの流体力係数に原因があるのかを実験的に調べ,流体力の非線形性をモデル化し,その妥当性を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
圧力センサーの数を増やして行った船体表面での非定常圧力分布の計測実験は,温度変化の影響など多くの検討事項があったにもかかわらず,計測は無事終了し,学術的に大変価値のある世界初の実験データを得ることができた。入射波の周波数で周期的な変動をする線形非定常成分だけでなく,非定常圧力の時間平均値と定常航走時の定常圧力との差(圧力増加)に関する船体表面分布も得られたことは画期的であり,波浪中抵抗増加に関する現象の物理的な理解に大きく貢献する成果である。また,数値流体力学(CFD)による数値計算も実行し,実験結果との比較も行ったので,実験と数値計算の両面から流体力学的な考察を行うことが可能となった。 また,計測された圧力分布から積分によって波浪荷重を求める研究も画期的であり,これまでの分割模型を使った水槽実験方法に代わる研究方法を提供できるし,非線形性に関する研究も行うことができる。これは次年度に行う予定である。 波浪中での操縦運動のシミュレーションに関しては,波浪による定常流体力の計算はEUTを用いてできるものの,全ての波向き,変化する前進速度に対する計算精度がまだ十分とは言えない。非線形流体力や船体の斜航の影響などを調べる必要があるが,これも次年度に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
FBG圧力センサを使った船体表面での非定常圧力分布の計測実験は,さらにセンサの精度を高め,斜波中での計測を実現させたい。斜波中での圧力計測は,CFDによる数値計算精度の検証だけでなく,斜波中での波浪荷重の算定,流体・構造連成の研究にとっても新たな研究手法を提供できるので,学術的に非常に重要である。 また,波浪中での操縦運動の新たな計算法の開発に関しては,CFDによる数値シミュレーションを行い,非線形流体力や舵・プロペラ周りの流れとそのモデル化への理解を深め,流体力への自由表面影響を考慮した実用計算法の開発・検証を是非とも達成させたい。
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Research Products
(22 results)