2017 Fiscal Year Annual Research Report
Mechanism of pre- and post-synaptic interactions
Project/Area Number |
17H01387
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岡部 繁男 東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 教授 (60204012)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
原田 彰宏 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (40251441)
|
Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 分子神経生物学 / イメージング / シナプス形成 / スパイン |
Outline of Annual Research Achievements |
軸索構造の一部であり神経伝達物質を放出するシナプス前部と、樹状突起の構造の一部であり神経伝達物質を結合する受容体が集積するシナプス後部が特異的に結合することでシナプスはその機能を発揮する。本研究ではシナプス前部とシナプス後部の間での相互作用がシナプス自体の機能、発達、リモデリングをどのように制御するのかを明らかにする。そのために以下の3項目、(A) シナプス前部から放出されシナプス形成を抑制する分子の作用機構の解明 (B) シナプス前部と後部の形態変化の特徴抽出と形態・機能相関の解明 (C) シナプス前部によるシナプス動態制御機構の生体内での解析 を研究の柱として、相互に連携した研究を実施している。(A)の項目においては、培養海馬神経細胞の回路の興奮性を変化させた時に発現が変化する液性因子としてBMP4に着目して研究を実施し、BMP4が軸索内を運搬されてシナプス前部から放出され、シナプス前部・後部の構造を縮退させ、最終的にはシナプス除去を引き起こす分子であることを示した。(B)の項目においては、構造化照明によるイメージング(SIM)と画像処理技術を最適化することで、スパインの3次元構造の定量的な解析手法を実現し、この手法を用いたシナプス動態解析を実施した。(C)の項目においては視床からの投射を受けるスパインと大脳皮質内で投射を受けるスパインについて、同じ樹状突起で隣接していてもその動態が全く異なることから、パートナーとなるシナプス前部側によって制御されている可能性を検討した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(A) シナプス前部から放出されシナプス形成を抑制する分子の作用機構の解明:BMP4の局在・動態を解析し、以下の点を明らかにした。(A) BMP4は軸索により多く存在し、速い軸索流によって運搬される。(B) BMP4はシナプス近傍で放出され、放出後は軸索表面に係留される。(C) BMP4の過剰発現とノックアウトの結果はシナプス前部の形成に対する負の影響を示唆する。(D) BMP4のノックアウトではスパインの密度増加と形態発達が促進される。(E) BMP受容体が軸索表面へのBMP4の係留に必要であり、BMP4によるシナプス発達の抑制という表現型も受容体のノックダウンにより消失する。これらの結果はBMP4がシナプス前部から放出され、シナプス前部と後部の発達を抑制する負のシナプス制御分子であることを強く示唆している。 (B) シナプス前部と後部の形態変化の特徴抽出と形態・機能相関の解明:構造化照明によるイメージング(SIM)と画像処理技術の改善により、スパインの3次元構造の定量的な解析を効率良く行う系を確立した。SIMにより得られた画像データと同じスパインの透過型電子顕微鏡による立体再構築データの比較により、本手法の精度を確認できた。更にグルタミン酸のuncagingとSIMによるスパイン形態の解析を組み合わせることで、シナプス可塑性を誘導する前後でのスパイン形態の変化を解析した。 (C) シナプス前部によるシナプス動態制御機構の生体内での解析:同じ樹状突起の隣接する二つのスパインにおいても、その動態が入力の性質により独立に制御されることを既に見出している。この違いはパートナーとなるシナプス前部側によって制御されている可能性が高いため、BMP4も含め軸索由来の制御分子についての検索を実施した。具体的には大脳皮質内の軸索によるシナプス結合に関して、BMP4の役割を評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに研究計画は順調に進んでおり、特に項目(A)においてBMP4の機能がシナプス除去であることが明確になったのは大きな進展である。今後は以下の点について特に力を入れて解析を進めたい。 (A) シナプス前部から放出されシナプス形成を抑制する分子の作用機構の解明:これまでの結果はBMP4がシナプス前部から放出され、シナプス前部と後部の発達を抑制する負のシナプス制御分子であることを強く示唆しており、その神経系における発現のパターンと神経細胞における局在を更に追求する必要がある。またBMPの受容体が果たす役割と更に下流のシグナル伝達系の機能についても検討を行う。個体レベルでのBMP4の役割についても過剰発現、細胞特異的ノックアウトの実験系を活用して解析する。 (B) シナプス前部と後部の形態変化の特徴抽出と形態・機能相関の解明:SIMによるイメージングと画像処理技術を組み合わせる事により、スパインの3次元構造の定量的な解析を効率良く行う系が確立された事を踏まえて、更にSIMイメージングをシナプスの動態解析に利用することが可能かどうかを検討する。 (C) シナプス前部によるシナプス動態制御機構の生体内での解析:同じ樹状突起の隣接する二つのスパインにおいて、その動態が入力の性質により独立に制御されるメカニズムを更に追求するため、典型的な大脳皮質へのシナプス入力である皮質内の投射と視床からの投射に絞って、この両者の軸索の持つ違いの分子基盤を明らかにする。
|
-
-
-
-
-
[Journal Article] Serotonin rebalances cortical tuning and behavior linked to autism symptoms in 15q11-13 CNV mice2017
Author(s)
Nakai, N., Nagano M., Saitow F, Watanabe W., Kawamura Y., Kawamoto A., Tamada K., Mizuma H., Onoe H., Watanabe Y., Monai H., Hirase H., Nakatani J., Inagaki H., Kawada T., Miyazaki T., Watanabe M., Sato Y., Okabe S., Kitamura K., Kano M., Hashimoto K., Suzuki H., Takumi, T
-
Journal Title
Science Advances
Volume: 3
Pages: e1603001
DOI
Peer Reviewed / Open Access
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-
-