2018 Fiscal Year Annual Research Report
生細胞解析による転写制御におけるクロマチン修飾の意義の解明
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17H01417
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
木村 宏 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 教授 (30241392)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | エピジェネティクス / クロマチン / 遺伝子発現制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
細胞分化に伴うX染色体の不活性化時のクロマチン動態を明らかにするため、H29年度に引き続きX染色体可視化系の開発を進めた。CRISPR/dCas9-GFPによるゲノム可視化系を用いて、4箇所のX染色体領域の可視化に成功した。しかし、標的の繰返し配列が低コピーであるため生細胞観察のためにはゲノム領域の明るさが十分ではなかった。そこで、super-folder GFP(sfGFP)を3回タンデムに繋いだ3xsfGFPを用いることで、長時間のタイムラプス観察が可能な明るさを達成することができた。複数の領域を同時に可視化できる雌ES細胞を樹立し、H3K27me3-mintbody(mCherry)と同時に観察することで、核X染色体アリルの活性化状態を判別することが可能となった。特に、DXZ4領域とXist領域の2箇所を同時に可視化し、2点間距離を計測することで、染色体の凝縮度を評価することが可能となった。ES細胞の培地からLIFを除いて細胞分化を誘導すると、両方のX染色体アリル上にH3K27me3-mintbodyが一過的に濃縮し、また、未分化状態時に比べてDXZ4領域とXist領域の2点間の距離も短くなった。さらに分化が進むと、片方のアリルではH3K27me3-mintbodyの濃縮が見られなくなるとともにもう片方のアリルでの広がりが確認できた。このH3K27me3-mintbodyの挙動は、Xist RNAと同様であり、細胞分化の初期課程ではXist領域の近傍で一過性にヘテロクロマチンが形成されると考えられた。また、H3K27me3と同様に不活性X染色体に濃縮するH4K20me1を認識するmintbodyも同時に解析したところ、H3K27me3とH4K20me1はほぼ同時に蓄積することが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞分化に伴うX染色体不活性化の動態解析は順調に進行し、現在論文を執筆中である。
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Strategy for Future Research Activity |
X染色体に関する研究は、より高分解能での解析を進めるほか、再活性化の解析にも着手する。また、熱ショック応答に関する研究を進めていく。
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