2017 Fiscal Year Annual Research Report
組織幹細胞の維持・若返りを可能にする新規分子メカニズム
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17H01433
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
洪 実 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (50631199)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
洪 繁 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (90402578)
秋山 智彦 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 特任助教 (20570691)
中武 悠樹 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (20415251)
小田 真由美 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 助教 (80567511)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | マウス胚性幹細胞 / Zscan4 / ゲノム安定化 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウス胚性幹(ES)細胞で稀に発現し、短時間にヘテロクロマチンの開閉、テロメア伸長、ゲノム安定化など細胞の若返りを行うZscan4遺伝子は、ES細胞の長期維持に必須である。本研究では、一生を通じて様々な分化細胞を供給し体中の組織・臓器の維持を担う組織幹細胞でもZscan4が中心的な役割を果たしているという仮説を提唱し、以下の目標を達成することで、それを検証する。 目標1. Zscan4の組織・臓器での発現パターンの解明 目標2. Zscan4 が組織幹細胞の維持に必須であることの検証 Zscan4遺伝子は、ヒトゲノムでは1コピーだが、マウスゲノムでは850 kb領域に偽遺伝子を含め9コピー存在する。その領域全てを欠失した条件的ノックアウトマウスを作製し、発生・生殖細胞・老化過程でのZscan4欠失マウスの表現形質を詳細に検討する。さらに、これらのマウスにDNAやクロマチンを障害するような薬物を投与し、内在性のZscan4が組織・臓器(特に組織幹細胞)で誘導されるか、また、その細胞修復、テロメア伸長、ゲノム安定化への関わりを検証する。目標3. Zscan4の抗老化作用をテスト 平成29年度は、Zscan4 が組織幹細胞の維持に必須であることの検証を目標とした。そこで、発生・生殖細胞・老化過程でのZscan4欠失マウスの表現形質を詳細に検討するため、その領域全てを欠失した条件的ノックアウトマウスの作成を目標とした。複数のジーンターゲッティング用ベクターの作成と、CRISPR/Cas9法での遺伝子組換えを行った。遺伝子組換えES細胞については、これまで多数のクローンのスクリーニングを行ったが、現在までにZscan4領域のノックアウトマウスを作成するための、遺伝子組み換え体は取れてきていない。現在も、遺伝子組換え、スクリーニングを継続している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
H29年度は、本研究の最も重要なステップであるZscan4遺伝子組換えモデルマウスの作成に集中したが、1MBに及ぶZSCAN4遺伝子クラスター領域がリピートが多くまた通常ヘテロクロマチン状態にあるという、非常に特殊な構造をしていると考えられるため、モデルマウスの作成が予定よりやや遅れている。 これを解決するために、最新のCRISPR/CAS9技術を用いて、何度もトライしているものの、思い通りの遺伝子改変を行うことができていない。本研究の最も重要な目標がZSCAN4遺伝子の条件的欠失マウスを作ることであるため、今後も全てのリソースと人員をモデルマウス作成に集中する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究戦略として、 (1)CRISPR/CAS9にて一度に1MB領域を欠失させることを試みる、 (2)Guide RNAのデザインする場所をZSCAN4領域のギリギリ外側でなく、周辺遺伝子の欠失を容認した形で、できるだけ外側に取る、 (3)さらに、できるだけ多くのGuideRNAを試す、 などを考えている。
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