2017 Fiscal Year Annual Research Report
Analysis of rDNA copy number monitoring system
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17H01443
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 武彦 東京大学, 定量生命科学研究所, 教授 (40270475)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リボソーム / リボソームRNA遺伝子 / 増幅組換え / SIR2 / コピー数モニター / ゲノムの安定性 |
Outline of Annual Research Achievements |
翻訳を担うリボソームは細胞内のタンパク質の半分以上を占め、その量を安定に維持することはすべての細胞にとって重要である。リボソームRNAをコードする遺伝子(リボソームRNA遺伝子)は、真核細胞では100コピー以上がタンデムに連なった巨大反復遺伝子群を形成している。リボソームを安定供給するためにはリボソームRNA遺伝子のコピー数の維持は必須である。しかしコピー間での組換えにより常にコピーを失っている。本申請研究では、コピー数の低下を感知し、増幅組換えを誘導、そして一定のコピー数で増幅を停止させるコピー数調節機構の解明を目指す 本年度は当初の計画通り遺伝学的手法によりSIR2の発現を抑制する因子の同定をおこなった。SIR2遺伝子に注目した理由は、これまでの代表者らの研究で、リボソームRNA遺伝子のコビー数が減少するとSIR2の転写も低下すること、またSir2が減少するとrDNAの増幅組換えが誘導されることから、その転写制御がリボソームRNA遺伝子のコピー数調節に関わっていると推察されたためである。まずSIR2プロモーターを選択マーカー遺伝子のORFとつないだコンストラクトをrDNA低コピー株に導入した。低コピー株では、SIR2プロモーターが抑制され、マーカー遺伝子は発現できず選択培地では生育できない。そこでこのコンストラクトをもった出芽酵母株に変異を導入し、選択培地で生育ができるようになった変異株を単離した。取れてきた変異株の相補性試験をおこなったところ、8つの相補グループに分類できた。そのなかで生育の比較的良好な4グループの変異部位を次世代シーケンサーによる全ゲノム解析で決定した。その結果、興味深いことにすべてrDNAの転写に関わる遺伝子(UAF:Upstreram activating factor)に変異を持っていた。さらにこれらの変異株では低コピー株でもSIR2の発現量は上昇していた。以上のことからUAFが転写抑制に関わっていると推察される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
機器のトラブルで一時解析のペースが下がったが、その後挽回し計画通りに進んでいる。 当初の予定通り、SIR2プロモーターの抑制に関わる因子の単離に成功した。しかもそれはリボソームRNA遺伝子にも結合する因子だったので、リボソームRNA遺伝子のコピー数をモニターしてSIR2の発現量を調整する因子の候補としては、理想的である。
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Strategy for Future Research Activity |
取れてきた因子の作用機序について解析する。まず抑制因子がSIR2プロモーターに実際に結合するかどうかを調べる。さらにそれらの因子のSIR2結合量とコピー数との関係を調べる。またを抑制因子の発現量を調節することで、コピー数の変動が見られるか確認する。
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[Book] 遺伝単2017
Author(s)
小林武彦その他
Total Pages
371
Publisher
NTS
ISBN
978-4-86043-499-1 C3047
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