2017 Fiscal Year Annual Research Report
DNA二重鎖切断を安全に相同組換えに変換する減数分裂クロマチン構造の研究
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17H01444
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
平岡 泰 大阪大学, 生命機能研究科, 教授 (10359078)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 染色体 / 細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
減数分裂におけるDNA複製の制御は、相同染色体の対合・組換え・分配を正常に行うための前段階として重要である。本年度は、DNA複製および相同染色体の対合・組換えを正常に行うために必要なクロマチン構造について、以下のような解析を行った。 分裂酵母において、ヒストンH4の8番目と12番目のリジン(K8、K12)をアルギニンに置換した変異株(H4-K8R/K12R)は、DNA複製ストレスを誘起する薬剤ヒドロキシウレア(HU)に対し超感受性を示し、低濃度のHU存在下で増殖不能となる。H4-K8R/K12R変異株のHU超感受性を抑制する遺伝子を探索した。分裂酵母のゲノムライブラリでヒストンH4-K8R/K12R変異株を形質転換し、HU超感受性を抑制するマルチコピーサプレッサーを探索検索し、耐性株を約10種類取得した。この過程で、cdb4遺伝子破壊株のHU感受性の解析を行っていたところが、平成29年12月、日本分子生物学会において、熊本大学のグループからcdb4遺伝子の破壊株のHU感受性に関して、我々と異なる実験結果が発表された。本研究遂行上、この結果の食い違いの原因を調査した上で関連遺伝子の評価実験をやり直す必要が生じた。食い違いの原因を調査するために、熊本大学のグループから細胞株を取得して、評価を行った結果、cdb4遺伝子破壊株はHU感受性を示さないことが確認されたので、cdb4遺伝子はH4-K8R/K12RのHU感受性には直接影響しないと結論した(未発表)。また、分裂酵母のヒストンバリアントの一つである H2A.zが、減数分裂において、相同染色体の組換えに与えることを明らかにした。この成果は、論文として発表した(Yamada et al., Current Genetics, 2018; Yamada et al., Nucleic Acids Research, 2018)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒストンH4-K8R/K12R変異株のHU超感受性を抑制する候補遺伝子を約10種類取得することに成功した。これにより、ヒストン修飾が減数分裂染色体の機能に果たす役割を解明する重要な手がかりが得られた。また、ヒストンバリアントが相同染色体の組換えに与える影響について明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、今年度に取得した約10種類の候補遺伝子について、詳細な分子遺伝的解析を行い、アセチル化ヒストンに相互作用する因子を見つける。また、アセチル化したヒストンH4K8・K12に結合するタンパク質を生化学的に精製し、質量分析により同定する。これらの分子遺伝的解析と生化学的解析を総合し、DNA複製におけるヒストンアセチル化の役割を検証する。
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Research Products
(23 results)