2018 Fiscal Year Annual Research Report
魚類生殖幹細胞の凍結・移植による遺伝子資源の長期保存技法の開発
Project/Area Number |
17H01488
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
吉崎 悟朗 東京海洋大学, 学術研究院, 教授 (70281003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 光太郎 埼玉県水産研究所, 水産研究所, 担当部長 (60502721)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 精原細胞 / 生殖幹細胞 / タナゴ / トミヨ / 凍結保存 / 絶滅危惧種 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)生殖細胞移植技法の構築 前年度に発生段階を至適化したトミヨおよびタイリクバラタナゴ宿主に対する生殖細胞の移植技法の構築を行った、その結果、先端の外径が80-100マイクロm程度のガラス管を用い、宿主個体の腹腔内へと細胞を移植する従来法を適応可能であることが明らかになった。また卵質の良い受精卵を用いた場合は、移植操作による発生率の低下も顕著ではなかった。 2)タイリクバラタナゴへの生殖細胞移植 タナゴ類への生殖細胞移植系構築の基盤として、劣性アルビノから単離した生殖細胞3000個程度をPKH26で蛍光標識を施したのち、dnd遺伝子に対するMOを注入した4日令の孵化仔魚の腹腔内へと移植した。その結果、8割程度の宿主個体の生殖腺内にドナー由来の生殖細胞の取り込みを確認することができた。さらに、これらの個体を6か月間飼育したところ、8割程度の個体が成熟し、配偶子を生産した。そこで、これらの宿主を劣性アルビノ個体と交配した結果、得られた次世代個体はアルビノの表現型を示すことを確認した。また得られた次世代は正常に発生し、その後も正常に成長を示した。以上の結果から、これらのタイリクバラタナゴ宿主は移植した生殖細胞に由来するドナーの卵、精子を生産したことが確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
タナゴを用いた研究では、ドナーと宿主のステージの選択を完了し、実際に移植系の構築が順調に進んでいる。現在までにアルビノのタイリクバラタナゴの生殖細胞をdnd遺伝子のノックダウンすることで不妊化した野生型タイリクバラタナゴに移植することで、アルビノの卵と精子を大量生産することに成功している。一方、トミヨに関してもイバラトミヨの宿主としての発生段階とムサシトミヨのドナーとしての成熟段階を至適化することに成功しており、移植系の構築も順調に進んでいる。以上のことからおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
タナゴ類に関しては、実際の絶滅危惧種を用いた生殖細胞の凍結保存実験、およびそ のタイリクバラタナゴ宿主への移植実験を進め、実際に絶滅危惧種の凍結細胞からい つでもその卵や精子を生産し、個体を創出可能な系の構築を目指す。トミヨ類に関し ても実際の細胞移植系の完成を目指す。またムサシトミヨの生殖細胞の凍結保存条件 を検討し、凍結細胞から生きたムサシトミヨを生み出せるシステムの完成を目指す。
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Research Products
(5 results)