2018 Fiscal Year Annual Research Report
農村社会から分離した農業経営の発展可能性-その地域類型的解明-
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17H01490
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
柳村 俊介 北海道大学, 農学研究院, 教授 (80183979)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
澁谷 美紀 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 北海道農業研究センター, 室長・調整監・技術支援センター長等 (00355265)
安延 久美 鳥取大学, 農学部, 教授 (30373228)
近藤 巧 北海道大学, 農学研究院, 教授 (40178413)
東山 寛 北海道大学, 農学研究院, 准教授 (60279502)
角田 毅 山形大学, 農学部, 教授 (60355261)
小内 純子 札幌学院大学, 法学部, 教授 (80202000)
松村 一善 鳥取大学, 農学部, 教授 (80283977)
中村 勝則 秋田県立大学, 生物資源科学部, 准教授 (80315605)
淡路 和則 龍谷大学, 農学部, 教授 (90201904)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 農業経営 / 農村社会 / 地域類型 |
Outline of Annual Research Achievements |
2年目の2018年度は,前年度に引き続き,北海道,東北,東海近畿,山陰での国内調査と韓国,タイ,ドイツ,インドネシアにおける海外調査を行った。このうち北海道,山陰,タイ,インドネシアの調査に関しては,担当する研究分担者に加え研究代表者を含む複数のメンバーが参加し,調査地の詳しい情報を共有しながら調査研究についての意見交換を行った。 2017年度に行った調査研究の結果,海外調査において注目すべき政策として次をマークした。タイでは2016年から開始された「集合的農地拡大システム事業」,韓国では農村政策の柱をなす「マウル総合開発事業」および農村インフラ整備と農地流動化対策を実施済する農漁村公社の事業である。これらについての情報の収集を行うとともに,政策が農業・農村にどのように浸透しているのか,農業経営と農村社会に対していかなる影響を与え,そこに政策側の意図との齟齬がないか等を検討できるように設計して農村実態調査を行った。 2019年3月21日~23日の日程で,韓国とタイの研究協力者3名を招き,研究の中間取りまとめのためのセミナーを開催した。13の研究発表に基づいて活発な討論が行われた。セミナーのタイトルを「農業構造政策と農村社会政策の動向と展望に関する国際セミナー」として,農業・農村の変動と関連づけて農業構造政策と農村社会政策の動向を把握することに力点を置いた。 研究発表としては,東北,タイ,ドイツ,インドネシアの調査研究に基づく学会発表,学術論文の刊行がなされた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国内調査,海外調査ともに2年目となり,当初,予定した内容で実施することができた。また,2019年3月に中間取りまとめに向けた国際セミナーを開催した。4年間の共同研究のスケジュールを再確認し,今後の取り組みに弾みを付ける点でこのセミナーは大きな意味を持った。2019年度の早い時期にセミナーの報告を原稿として集約し,報告集として取りまとめることにしている。 タイの「集合的農地拡大システム事業」,韓国の「マウル総合開発事業」や農漁村公社等,近年における農業・農村政策の特徴を把握する上での注目点が定まりつつある。これら農業・農村政策の動向に関する情報収集を進めるとともに,農村実態調査研究と接合するために,フレームワークの構築が改めて求められる状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
第3年度に当たる2019年度は,引き続き国内調査,海外調査を進めるとともに,研究のとりまとめに向けたフレームワークの構築を図ることに力を注ぐ。農業・農村の関係の変化を説明するためのフレーワークを国,地域を横断する形で構築するとともに,各国・各地域の特徴が表出するメカニズムの解明も重要である。これに適用可能な経済学と社会学の諸理論を探りつつ,実態分析の結果と突き合わせる作業が重要となる。 2018年度も同様の取り組みをしたが,実態分析の成果を踏まえながらフレームワークを構築する作業には,各地域の調査研究への相互乗り入れが有効と思われる。2019年度は東北,東海近畿,さらにドイツの調査研究で実施する計画である。 調査研究の研究成果の一部はすでに学会発表や学術論文等で公開されているが,本年度はその動きを加速させる。それがフレームワークの構築作業を進めることにつながる。
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