2017 Fiscal Year Annual Research Report
Gene regulatory networks underlying 3-D conformational change in genome associated with anhydrobiosis
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17H01511
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Research Institution | National Agriculture and Food Research Organization |
Principal Investigator |
黄川田 隆洋 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構, 生物機能利用研究部門, 上級研究員 (60414900)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舟橋 啓 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (70324548)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 乾燥耐性 / ゲノム構造 / 遺伝子発現調節 / 遺伝子ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
黄川田グループ:平成29年度は、ネムリユスリカ培養細胞の乾燥耐性誘導過程に変動するゲノム高次構造を知る目的で、手始めに水和状態のPv11細胞をコントロールにin situ HiC解析を行った。その結果、染色体のTADとドメイン構造を判別することが可能になった。また、HiCデータの利用により、ネムリユスリカゲノムアッセンブリーのスキャホールドN50の大幅な向上が確認できた。Pv11細胞の乾燥・再水和過程の遺伝子発現変動パターンを知るために、total RNA-seqを実施した。得られたデータを舟橋グループに供与した。CRISPRによるゲノムワイドな遺伝子破壊を実行するために、ネムリユスリカゲノム上のPAM配列を含む領域を網羅的に同定し、最終的に100,000個のサイトを選抜した。また、CRISPRによってターゲット遺伝子に変異が生じた細胞を効率良く単離するためのソーティング技術も確立することができた。 舟橋グループ:平成29年度は、細胞単位で乾燥耐性を持つことが報告されているネムリユスリカ胚由来培養細胞であるPv11細胞の乾燥耐性獲得に必要とされるトレハロースを豊富に含む培地で処理するトレハロース処理後の時系列RNA-seqデータをもとに、発現を有意に変動させた転写因子を統計解析により得た。続いて、これら転写因子の発現変動の前後関係をもとにダイナミックベイジアンネットワークモデル及び確率微分方程式モデルを用いて各転写因子間の制御関係を推定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
黄川田グループ:in situ Hi-C技術が、非モデル生物の培養細胞であるPv11にも適用可能である事を確認できた。その上、ゲノムアッセンブリーの向上が行えた結果、染色体数(4組)とほぼ同数のスキャホールドを得るに至った。この精度の高いゲノム情報は、今後のトランスクリプトーム解析の確度を高める事が大いに期待できる。Pv11細胞でのCRISPR技術も確立できたことで、乾燥耐性に寄与しうる遺伝子を効率良く同定する方法論が出そろった。 舟橋グループ:今年度はPv11細胞の時系列RNA-seqデータを用いて乾燥耐性獲得に関わる転写制御ネットワークの推定に成功した。推定されたネットワークの尤もらしさ(生物学的妥当性)を評価するために、推定したネットワークの次数分布と冪乗則を仮定した際の指数の評価を行った。推定したネットワークは既知生物種の転写制御ネットワークと類似した次数分布、冪乗則の指数を示したことから、生物学的に尤もらしい乾燥耐性転写制御ネットワークが得られている可能性が高いと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
黄川田グループ:今年度確立された技術を大きく展開し、乾燥誘導過程のTADの変動とそこに含まれる遺伝子セットの発現変動の相関を順次解き明かしていく。Pv11細胞へのCRISPRもハイスループットかを推し進めることで、ゲノムワイドな乾燥耐性責任遺伝子の同定を効率良く進めていく。 舟橋グループ:今年度推定を行ったネットワークの構造に基づき、上流遺伝子のノックアウト・ノックダウン実験を行い、下流遺伝子の発現が有意に変動するかを検証することを計画している。これにより、ネットワーク中の偽陽性(本来は制御関係がない場所にあるとしてしまう過誤)の排除を行うことができる。平成29年度では乾燥耐性獲得に関わる転写制御ネットワークの推定を行ったが、今後は再水和過程における転写制御ネットワークの推定、更にはゲノム構造変化にともなう乾燥無代謝休眠特異的な遺伝子制御ネットワークの推定を行う。
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Research Products
(19 results)