2018 Fiscal Year Annual Research Report
Precise Synthetic Modifications of Proteins
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17H01522
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
金井 求 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 教授 (20243264)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | タンパク質修飾 / トリプトファン / ラジカル / 酸化 / 電解酸化 / 抗体 / 抗体ー薬物複合体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、タンパク質の構造を精密に変換する化学反応の開発を行い、タンパク質のトップダウン型精密構造変換がその機能転換や機能最適化のための強力な新手法になることを明らかにすることである。我々は、タンパク質中に存在するトリプトファン残基の側鎖インドールを、選択的に変換する条件を既に見出している。本年度は、この反応を用いた抗体修飾の検討を継続した。従来法である窒素酸化物による反応剤の酸化的活性化を用いると、生成する抗体-薬物共役体の物性が良くないことが判明した。これは、従来の反応条件が弱酸性であることに起因すると考えた。そこで中性条件で進行する条件の検討をおこなった。その結果、電極酸化を用いる反応剤の活性化を組み込むことによってタンパク質修飾反応が中性条件で進行することを見い出した。現在、この新たな反応条件を使って抗体修飾を検討中である。 一方で、弱酸性条件で進行する従来法による生成物である抗体-薬物共役体の構造決定をおこなった。その結果、抗体のFc部位に存在するトリプトファン残基で主に化学反応が進行していることが分かった。実際、ELIZA実験で抗体-薬物共役体は非修飾抗体と変わらない抗原結合能を保っており、トリプトファン修飾が抗体ー抗原結合に影響を及ぼさないいることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
タンパク質修飾に電気化学的な手法を取り入れて、中性条件でのトリプトファン修飾が進行する反応をみいだしたことは極めて意義深い。これによりタンパク質の機能や物性を保ったまま、その機能を改変・向上させて行くことがさらに現実のものとなる。
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Strategy for Future Research Activity |
電解反応によるタンパク質修飾反応の基質一般性を検討し、抗体-薬物複合体の物性や活性を調べる。また、プロテインマッピングの手法により、その構造情報を得る。さらに、この新手法で合成した抗体ー薬物複合体の実験動物における活性を検討する。
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Research Products
(10 results)