2017 Fiscal Year Annual Research Report
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17H01532
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山梨 裕司 東京大学, 医科学研究所, 教授 (40202387)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
手塚 徹 東京大学, 医科学研究所, 助教 (50312319)
植田 亮 東京大学, 医科学研究所, 助教 (10445025)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 神経筋シナプス / シグナル伝達 / 神経科学 |
Outline of Annual Research Achievements |
神経筋シナプス(NMJ:Neuromuscular Junction)は骨格筋収縮の制御に必須であり、その喪失は呼吸を含む運動機能の喪失を招く。本研究代表者らは「細胞内分子Dok-7による受容体型キナーゼMuSKの活性化」がNMJ形成シグナルに必須であり、その異常がNMJ形成不全(DOK7型筋無力症)の原因であることを発見した。さらに、NMJ形成を増強する新たな制御技術を創出し、筋無力症や筋ジストロフィーなど、NMJ形成不全を呈する多様な疾患モデルマウスに対する当該制御技術による治療効果を実証してきた。これらの成果を踏まえ、本研究では、1)NMJ形成シグナルに関する独自の解析・制御技術を用いた当該シグナルの実体解明と、2)運動機能の低下や筋萎縮に伴うNMJ形成不全の病態生理学的な意義の解明を目指している。 本年度の研究においては、独自に見出した出生後のNMJ維持に必要なAgrin機能について、Agrin分子内の機能領域の解析を進め、その中央部の不要性を確認した。また、独自に絞り込んだNMJ形成制御に重要な新規遺伝子候補については、その組織特異的な遺伝子欠損マウスの作出を進め、次年度の詳細な解析の準備を整えた。他方、個体におけるNMJ形成不全の解析では新たに電気生理学的な解析を実施し、NMJ形成不全の機能的な理解を深めた。この構造・機能の両面からの解析基盤の確立により、次年度以降のNMJ形成シグナルとNMJ形成不全の解析を円滑に進めることができる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」にも記載の通り、本年度はAgrin分子内の機能領域の解析とNMJ形成制御に重要な新規遺伝子候補の絞り込み、およびその組織特異的な遺伝子欠損マウスの作出を実施し、次年度に予定するNMJ形成シグナルの詳細な解析の準備を整えた。また、電気生理学的手法を用いたNMJ形成不全の機能的な解析も進展しており、上記区分を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
NMJ形成シグナルについては、作出した、NMJ形成制御に重要な新規遺伝子候補の遺伝子欠損マウスの解析を当初の計画に従いつつ、速やかに推進して行く。その上で、NMJ形成不全の構造的な解析については、NMJ形成不全マウスのNMJ微細構造の電子顕微鏡解析を実施する。その他の課題についても、当初の計画に沿った研究を進める。
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