2018 Fiscal Year Annual Research Report
Three types of motility mechanisms in pathogenic bacteria, class Mollicutes
Project/Area Number |
17H01544
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
宮田 真人 大阪市立大学, 大学院理学研究科, 教授 (50209912)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞運動 / 光学顕微鏡 / クライオ電子顕微鏡 / 構造生物学 / 単粒子解析 / 合成細菌 / 電子線クライオトモグラフィー / 遺伝子操作 |
Outline of Annual Research Achievements |
高等動植物に寄生することで特殊な進化を達成した病原細菌,Mollicutes綱(モリクテス綱)は,小さなグループであるにもかかわらず,3種類ものユニークな運動メカニズムを有している.私たちはこれまでの独自の研究で,Mycoplasma mobile(以下,モービレと略)の滑走運動メカニズムのアウトラインを明らかにし,Mycoplasma pneumoniae(以下,ニューモニエと略)などの滑走運動とSpiroplasma eriocheiris(以下,スピロプラズマと略)などの遊泳運動メカニズムの理解に大きく貢献してきた.本研究では,これら3種の運動メカニズム全てを,構造,反応,進化の面から徹底的に究明することを目的とした. 本年度,モービレ滑走運動については,“モーター”に相当する部分を単離し,クライオ電子顕微鏡による観察と,コンピューターによる像の計算を行うことで,18分子のタンパク質から構成される1.5 MDaの超分子複合体構造を4.8オングストロームの分解能で明らかにした.その結果,モーターの進化と運動のメカニズムについて原子レベルで議論することに成功した.ニューモニエ滑走運動については,直接のエネルギー源がATPであること,菌体が細胞全体で20ピコニュートンに相当する力発生を,多くのあしを動かすことで達成していることを明らかにした.スピロプラズマ遊泳運動については,合成細菌JCVI-syn3.0Bにスピロプラズマの7タンパク質を発現することで遊泳を再現することに成功し,それぞれのタンパク質の役割を明らかにした.さらに遊泳装置の中心をなすfibrilタンパク質の構造をクライオ電子顕微鏡により3.6オングストロームの分解能で明らかにした.その結果,遊泳メカニズムの中心部分を原子レベルで議論することが可能となった.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
【モービレの滑走運動】力発生の素過程を,光学計測により詳細に解析することに成功した.滑走装置における内部構造“モーター”に相当する部分,すなわち1.5 MDaの超分子複合体構造を単離し,クライオ電子顕微鏡により4.8オングストロームの分解能で明らかにした.その結果,モーターの進化と,ATPを加水分解して,力を発生し,外に伝える過程を原子レベルで提案することに成功した.さらに,生きている細胞を外側から高速原子間力顕微鏡観察で走査することで,細胞内におけるモーターの挙動をとらえることに成功した. 【ニューモニエの滑走運動】滑走のためのあしを形成する重要なタンパク質,P1アドヘジンの構造の分解能3.1オングストロームで構造を明らかにした.また,直接のエネルギー源がATPであること,菌体が細胞全体で20ピコニュートンに相当する力発生を,多くのあしを動かすことで達成していることを明らかにした. 【スピロプラズマの遊泳運動】合成細菌JCVI-syn3.0Bにスピロプラズマの7つのタンパク質を発現することで遊泳を再現することに成功し,それぞれのタンパク質の役割を明らかにすると共に,運動の進化上の起源に迫った.さらにリボン状の遊泳装置とその中核をなすfibrilタンパク質を単離し,fibrilタンパク質の構造をクライオ電子顕微鏡により3.6オングストロームの分解能で明らかにした.さらにfibrilタンパク質と共に遊泳の中核をなす5種類のMreBタンパク質それぞれの構造と機能を明らかにした. 以上の結果は全て,モリクテス綱細菌の運動メカニズムと起源を明らかにするための極めて重要な知見である.これらの結果は,これまでに13編の論文として発表され,現在8つの論文が投稿中あるいは投稿準備中である.
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Strategy for Future Research Activity |
本報告書を提出する2020年5月には当計画の研究期間が終了しているため,今後は研究成果をまとめ,発表することに注力したい.ニューモニエの滑走運動におけるP1アドヘジンの構造と,スピロプラズマのMreBのバイオインフォマティックスによる解析の論文はすでに投稿を終え,査読中である.それ以外の内容についても順調に発表の準備を行っている.また本研究の成果と見とおしをまとめた日本語総説を総説として邦文誌「生化学」に投稿した.
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Research Products
(96 results)
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[Journal Article] Tree of motility - A proposed history of motility systems in the tree of life2020
Author(s)
Miyata M, Robinson RC, Uyeda TQP, Fukumori Y, Fukushima S, Haruta S, Homma M, Inaba K, Ito M, Kaito C, Kato K, Kenri T, Kinosita Y, Kojima, Minamino T, Mori H, Nakamura S, Nakane D, Nakayama K, Nishiyama M, Shibata S, Shimabukuro K, Tamakoshi M, Taoka A, Tashiro Y, Tulum I, Wada H, and Wakabayashi K.
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Journal Title
Genes to Cells
Volume: 25
Pages: 6-21
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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[Journal Article] Production and characterization of recombinant P1 adhesin essential for adhesion, gliding, and antigenic variation in the human pathogenic bacterium, Mycoplasma pneumoniae2019
Author(s)
Kenri T, Kawakita Y, Kudo H, Matsumoto U, Mori S, Furukawa Y, Tahara YO, Shibayama K, Hayashi Y, Arai M, Miyata M
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Journal Title
Biochemical and Biophysical Research Communications
Volume: 508
Pages: 1050-1055
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Presentation] Bacterial actin homolog, MreBs and fibril are essential for the swimming motility of Spiroplasma eriocheiris2019
Author(s)
Ikuko Fujiwara, Daichi Takahashi, Yuya Sasajima, Hana Kiyama, Ayami Arakawa, K Kato, Tomoko Miyata, Shigeyuki Kakizawa, Keiichi Namba, Makoto Miyata
Organizer
11th Toyota Riken International Workshop on "Actin Filament: beyond the atomic resolution structures"
Int'l Joint Research / Invited
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