2017 Fiscal Year Annual Research Report
第2世代ヘテロ核酸による脳血管内皮細胞マイクロRNA制御と脳梗塞治療法開発
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17H01548
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
石橋 哲 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 講師 (30533369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 健彦 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20220957)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 核酸医薬 / 脳梗塞 / マイクロRNA / 虚血応答性核酸 / 血管内皮細胞 / ヘテロ核酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
急性期脳梗塞では、neurovascular unitの中心的役割を果たす脳血管内皮細胞を制御することで、血管新生促進効果などにより脳保護、神経再生作用などを促し強い治療効果が期待できるが、現在まで有効な治療法は確立されていない。医学、薬学、工学の連携により、世界最高水準のin vivo遺伝子抑制効果をもつ独自のヘテロ核酸を 1. microRNA阻害目的に改良した第二世代ヘテロ核酸(JP2014/00282) 2. 脳梗塞病態特異的に作用する人工核酸技術「細胞内環境応答型核酸」(JP2001/096356) 3. ヒト由来脳血管内皮細胞に対して虚血負荷をかけて同定した治療効果の期待できるmicroRNA 3つの知財を軸に、急性期脳梗塞の病態に最適化した核酸医薬を開発し、新しい発想の治療薬を創薬する。 平成29年度は、当初の計画通り脳梗塞モデルマウスを作成し、マイクロアレイ解析を行った。脳梗塞急性期に治療標的となる虚血周辺領域で、正常脳と比較して変動の強かったmicroRNAを選定し、以前より治療標的として選定していたmicroRNAに加えて新たな標的microRNAを見つけ出すことが出来た。選定したmicroRNAは、脳血管内皮細胞(b.End3)培養系で、細胞にそのmimicを導入し管腔形成能の阻害効果を見ることによりヘテロ核酸による治療標的となりうるmicroRNAを5つ選定することが出来た。また、pHの低下時のみ遺伝子抑制効果を発現する虚血応答性核酸を東北大学和田教授研究室で最適化し、pH 6.3-6.8と虚血病変のあらゆるpHに対応した核酸医薬の分子設計及び合成に成功した。脳血管内皮細胞培養系での、miR-126, -155の遺伝子抑制効果は良好に見られ、それぞれの下流遺伝子であるVEGF、Klf-4 mRNAの変動も容量依存性に見られたことから病態制御が可能と考えたれた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の実験計画通り、以下の様に順調に進展している。 1. さらなる脳血管内皮細胞制御miRNAの探索と脳血管内皮細胞培養系での機能評価 マウス脳梗塞モデルの主には梗塞周辺部位の脳組織を採取し、正常脳とマイクロアレイ解析にて比較することで、脳梗塞急性期において強い変化の認められるmicroRNAを同定した。その中で、脳血管内皮細胞培養系での管腔形成阻害能評価(in vitro 評価系)により、そのmicroRNAの発現阻害をすることにより血管新生を促す可能性のある標的microRNAを検出することが出来た。 2. in vitro内皮細胞虚血モデルでの虚血応答性遺伝子抑制効果の検証 pH低下時のみに遺伝子抑制効果を発揮する虚虚血応答性核酸を東北大学和田教授研究室にて最適化を行った。脳梗塞時にはpH 6.3-6.8と低下することから、分子内導入フェニルボロン酸部位への置換基導入など分子設計・合成を行い、標的pHに最適化された人工核酸作成に成功した。 また、脳血管内皮特異的で血管新生制御作用知られているmiR-126及び、脳梗塞に対する治療効果が報告されているmiR-155を本研究のPOC実験のmicroRNAとして選定している。それぞれのmicroRNAに対して、10種類以上のanti-miR配列から最も遺伝子抑制効果の強いanti-miR配列を脳血管内皮細胞培養系にて同定した。同配列から作成した虚血応答性ヘテロ核酸を細胞内に導入して、標的microRNAの強い抑制効果を定量的RT-PCRで確認した。また、microRNAの下流mRNA(VEGF、Klf-4、Rictorなど)に関しても、容量依存性に変化することが確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は、主にマウス脳梗塞モデルでの脳血管内皮細胞におけるmiRNA抑制効果やデリバリー効果に関してin vivoでの検証を行う。正常及び脳梗塞モデルマウスを作成し、平成29年度の検討でPOC実験の標的と選定したmiR-126, -155に対して梗塞周辺(ペナンブラ)部位pHに最適化された虚血応答性ヘテロ核酸を経静脈的に投与し、本治療概念がin vivoでも予想通りのmiRNA抑制効果を発現するかどうかを検討する。 1. 脳血管内皮細胞へのデリバリー C57/Bl6マウスの中大脳動脈を閉塞することにより作成した脳梗塞モデルを用いて、虚血反応性核酸を経静脈的に投与した場合に、特に虚血領域の脳血管内皮細胞にデリバリーされるのかを確認する。さらに、蛍光色素でラベルしたヘテロ核酸とpH感受性蛍光色素の2波長領域で2分子をラベルして、微細なヘテロ核酸の脳組織内分布や細胞内分布を我々の保有する超感度蛍光顕微鏡(STORM)で脳組織病理学的に検索し、虚血応答性ヘテロ核酸の効果発現メカニズムを解析する。 2. 虚血応答性核酸ヘテロ核酸のin vivoでの脳血管内皮細胞miRNA阻害効果 miR-126, -155抑制効果をqRT-PCR、ノザンブロットに加え、脳切片のin situ hybridization法にて確認する。ペナンブラ領域のpHを定位的に挿入した光ファイバーpH測定プローブ[pHOptica, WPI]で測定し、得られたpHを元に、虚血応答性核酸のin vivoでの最適化を図る。さらに、内皮細胞特異的なmiRNA阻害効果に関しては、内皮細胞特異的miR-126阻害実験との比較、及び、マウス脳をPercoll密度勾配遠心法で脳血管内皮を豊富に含んだ分画を取り出し、さらに内皮細胞特異的CD31抗体を用いたMACS磁気細胞分離法で純粋化しすることで評価する。
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[Journal Article] Peptide Ribonucleic Acid (PRNA)-Arginine Hybrids. Effects of Arginine Residues Alternatingly Introduced to PRNA Backbone on Aggregation, Cellular Uptake, and Cytotoxicity2018
Author(s)
Hiroka Suga, Ikuhiko Nakase, Seiji Sakamoto, Akihiro Nishio, Masahito Inagaki, Masaki Nishijima, Asako Yamayoshi, Yasuyuki Araki, Satoru Ishibashi, Takanori Yokota, Yoshihisa Inoue, Takehiko Wada
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Journal Title
Chemistry Letters
Volume: 47
Pages: 381-384
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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