2018 Fiscal Year Annual Research Report
第2世代ヘテロ核酸による脳血管内皮細胞マイクロRNA制御と脳梗塞治療法開発
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17H01548
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
石橋 哲 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 准教授 (30533369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
和田 健彦 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (20220957)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 核酸医薬 / 脳梗塞 / マイクロRNA / 人工核酸 / モデル動物 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、正常マウス及び急性期脳梗塞モデルマウスに対して我々が開発した人工核酸(ヘテロ核酸)の経静脈的投与による遺伝子抑制効果を検証した。Proof of concept(POC)として選択した脳血管内皮細胞特異的マイクロRNA (miR-126) 及び、脳梗塞に対して抑制することで病態を改善することが知られているマイクロRNA (miR-155)を標的として人工核酸を作成した。 人工核酸は経静脈投与であっても虚血脳の血管内皮細胞にデリバリーされ、強い標的遺伝子抑制効果を発揮した。さらに、miR-126ではVCAM-1、SPRED1などの直接の下流遺伝子が有意に変動すること、また、脳梗塞後の血管新生や脳梗塞体積が変化することが確認された。つまり我々の開発した人工核酸は、経静脈的投与であっても脳梗塞の病態を制御できること、また、脳血管内皮細胞特異的な遺伝子制御を行うことでneurovascular unitを介して虚血脳内の病態を制御できることが証明された。 脳梗塞超急性期(発症24時間以内)には脳血管関門(BBB)の破綻は見られず、経静脈的投与では核酸の脳内への送達効率が非常に低かったため、虚血脳における輸送蛋白の解析を行った。その結果、脳梗塞超急性期(発症24時間以内)では、脳血管内皮細胞及び神経細胞において、速やかな脂質受容体の発現亢進が見られることを発見した。 これらの結果から、人工核酸に脂質ライガンドを結合させれば脂質受容体発現亢進が見られた虚血部位特異的に人工核酸の送達が可能となる可能性を考えた。実際に脂質ライガンドを結合させたヘテロ核酸を脳梗塞モデルマウスに経静脈的に投与したところ、従来の一本鎖アンチセンス核酸と比較して、マウス脳梗塞モデルにて虚血部位へのデリバリー効果で8-10倍、遺伝子抑制効果で5倍以上の効果を発揮した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度、平成30年度にかけて当初の計画通り順調に研究を進めている。平成30年度は、脳梗塞に対する虚血特異的な人工核酸の開発研究に関して特許を取得することが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度は、ヒト由来脳血管内皮細胞低酸素負荷モデルに対するマイクロアレイ解析により得られたマイクロRNA(特許出願中)を標的とした人工核酸(ヘテロ核酸)を作成する。in vitroの検討で最も遺伝子抑制効果の強いヘテロ核酸を脳梗塞モデルマウスに超急性期のタイミングで経静脈的に投与し、虚血病態改善の有無を確認する。 脳梗塞モデルは中大脳動脈永久閉塞モデルや中大脳動脈虚血再潅流モデルなど複数のモデルマウスを作成し、MRI画像や病理学的に定量した脳梗塞体積、脳血管内皮細胞の分裂能や遊走能を免疫組織学的手法で評価するだけでなく、レーザードップラーや2次元血流計を使用した経時間的脳血流測定、2016年に我々の施設に導入されたin vivo共焦点顕微鏡(Nikon, A1R+)による微小血管レベルでの機能的血管新生効果、神経学的機能を主要エンドポイントに、核酸投与量別、脳梗塞モデル別に評価を行う。
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