2017 Fiscal Year Annual Research Report
早老遺伝子の多角的解析に基づく老化と疾患の分子病態解明
Project/Area Number |
17H01558
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
横手 幸太郎 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (20312944)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清水 孝彦 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (40301791)
竹本 稔 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任教授 (60447307)
前澤 善朗 千葉大学, 大学院医学研究院, 講師 (80436443)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ウェルナー症候群 / iPS細胞 / 間葉系幹細胞 / 分化 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)WS患者iPS細胞由来間葉系幹細胞を用いた加齢性変化の分子メカニズム・分化系の確立:昨年度は、以前樹立したiPS細胞は発がん等の恐れのあるレトロウイルスを使用していたため、標的細胞からの除去が可能なセンダイウイルスを用いて再度iPS細胞の樹立をおこなった。今までに倫理審査は終了し、ウェルナー症候群患者5例をリクルート、血球にOCT4, SOX2, KLF4, c-MYCの遺伝子導入を行い樹立に成功した。ほとんどの株で未分化マーカーなどの確認が終了し、また一部の株を用いてマウスに奇形腫を作成し、3胚葉分化の確認を施行中である。 WS患者では皮膚、アキレス腱といった間葉系組織に早老徴候や悪性腫瘍を発現するため、このiPS細胞を間葉系幹細胞、脂肪、血管などに分化させ、その表現系を評価する。脂肪分化に関しては、iPS細胞に脂肪分化誘導をかけるとOil Red 陽性の脂肪細胞が増えることが確認できた。 2)ヒト早老症モデル動物の作製と検討:WSの原因遺伝子であるWrnの欠損マウスはヒトと異なり、表現型を有さない。一方、RECQヘリケースには、WRN以外のファミリー遺伝子が存在し、これらの機能が相補的である可能性がある。そこで、その一つであるRECQL5との交配により老化表現型が増強されるかを観察している。昨年度はマウス交配に費やし、ダブルKOマウスが得られた。また、培養細胞でWRNとRECQL5を同時にノックダウンすると、細胞増殖が低下し細胞老化が促進され、DNA損傷が亢進する事がわかった。このようにして健常者の老化と早老症に共通する加齢関連疾患の分子機序の解明を目指している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予想を上回る5例の患者さんからiPS細胞を樹立することが出来た。また、WRNとRECQL5のダブルKOマウスも得られた。さらに、学内の協力者を得て、WRNノックアウトiPSやWS患者由来線維芽細胞を用いて、エピゲノム解析や遺伝子発現解析を始めている。順調に、プロジェクトが進捗していると考えております。
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Strategy for Future Research Activity |
1)WS患者iPS細胞由来間葉系幹細胞を用いた加齢性変化の分子メカニズム・分化系の確立: WS患者では皮膚、アキレス腱といった間葉系組織に早老徴候や悪性腫瘍を発現するため、樹立したiPS細胞を用いて間葉系幹細胞、脂肪、血管などに分化させ、その表現系を評価する。現在、 iPS細胞から脂肪細胞、間葉系幹細胞、ならびに血管細胞へと分化させる系の確立に取り組んでおり、本年度も引き続きこれを行う。脂肪分化に関しては、iPS細胞に脂肪分化誘導をかけるとOil Red 陽性の脂肪細胞が増えることが確認できたが、血管内皮、間葉系幹細胞に関しても現在、分化誘導系の安定化を試みていく。本年度はこれら分化系を用いて、間葉系幹細胞や脂肪細胞に分化誘導をかけたときの遺伝子発現の変化、ゲノム変化やエピゲノムの変化を検討する。 2)ヒト早老症モデル動物の作製と検討: WRNと RECQL5のダブルKOマウスは正常に出生し、6ヶ月の通常飼育下では顕著な早老症候を示さないことがわかった。そこで、さらに高脂肪餌や炎症刺激の負荷を加え、検討を行う。さらに、併行してKOマーモセットモデルの作成に着手し、ヒトにより近い霊長類を用いることで、早老症の表現型を世界で初めて得ることが期待される。
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Research Products
(18 results)
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[Journal Article] Physician-initiated clinical study of limb ulcers treated with a functional peptide, SR-0379: from discovery to a randomized, double-blind, placebo-controlled trial2018
Author(s)
Nakagami H, Sugimoto K, Ishikawa T, Fujimoto T, Yamaoka T, Hayashi M, Kiyohara E, Ando H, Terabe Y, Takami Y, Yamamoto K, Takeya Y, Takemoto M, Koshizaka M, Ebihara T, Nakamura A, Nishikawa M, Yao XJ, Hanaoka H, Katayama I, Yokote K, Rakugi H
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Journal Title
NPJ Aging Mech Dis
Volume: 4
Pages: 2
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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