2020 Fiscal Year Annual Research Report
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17H01564
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
貫名 信行 同志社大学, 脳科学研究科, 教授 (10134595)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山川 和弘 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (30241235)
宮崎 晴子 同志社大学, 研究開発推進機構, 助教 (80525890)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 無髄神経 / Nav1.2 |
Outline of Annual Research Achievements |
中枢神経系の無髄神経の分布に関してNav1.2をマーカーにして検討を行っている。脳梁・分界条の線維に無髄が存在することを免疫電顕を含めて確認した。現在その起始細胞を同定しようと大脳皮質4層神経細胞に蛍光タンパク質を発現するマウスを用いて検討している。一部Nav1.2抗体の染色性と一致することを同定した。 このNav1.2陽性線維を投射している神経細胞を同定するためアデノ随伴ウィルスを用いたラベルを行なっている。 多系統萎縮症において線条体のNav1.2の染色性の脱落を見出した。この起始核である中型有棘神経細胞の脱落との関係をブレインバンク由来の症例標本を用いて線条体の解析範囲を広げて検討中である。beta4抗体の染色性との比較も行なっている。線条体のNav1.2陽性線維のなかでも障害されやすい線維とされにくいものがあるようであるので、その特性の解析を行なっている。 無髄関連タンパク質と考えて いるGolliについてはコンディショナルノックアウトマウス作製のためにFloxマウスを作製し、小脳でのノックアウトを作製し解析中である。 Nav1.2のコンディショナルノックアウトマウスについては線条体中型有棘神経細胞特異的にCreが発現するGpr88-CreマウスとScn2a floxedマウスを掛け合わせて得たScn2aコンディショナルノックアウトマウスを用いて行動試験を行った結果、活動性低下、不安の減少、後肢のアタキシア様運動異常および社会的新奇性に対する嗜好性の軽度な不全が観察された。また病理学的検討を行い、この過程で新たな無髄神経回路の候補を見出し、解析中である。 線条体中型有棘神経細胞を蛍光ラベルしたマウスを用いたハンチントン病中型有棘神経細胞のトランスクリプトーム解析を行い、これまで報告されている以上の、発現変化している遺伝子を見出た。細胞特異的解析法の重要性を示しており、論文発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定に対応して評価する。 1) 中枢神経における無髄神経の同定(貫名・宮崎グループ):継続→発表、の予定であったが起始細胞を同定し、完璧なものを目指すこととした。2)無髄神経系の特徴的なsodium channelなどの構成分子群の同定(貫名グループ):無髄神経に富む領域の解析はできているが、ノックアウトマウスを用いて免疫沈降などによるsodium channel結合タンパク質の解析を検討中。免疫沈降の条件が膜タンパクのため困難であったが乗り越えられそう。3)a)線条体特異的ノックアウトマウスの解析:継続 b)小脳特異的ノックアウトマウスの解析:継続:作製し、ノックアウトの確認、症状の解析中。4)Golli flox/flox の作製:作製完了。小脳顆粒細胞特異的ノックアウトが確認できた。特異的変化が乏しいため、発表の後バンクに寄託予定。5)脳梁無髄線維の起始細胞、分界条床核起始細胞の同定:脳梁無髄線維の起始細胞候補である皮質4層にCreを発現するマウスを導入し、蛍光色素を発現することを利用し、無髄神経かどうかを検討し、一部Nav1.2発現と一致することを確認。AAVによって、この候補細胞にGFPを起始細胞を発現し、確認を試みている。 6)研究分担者山川らによって作製されたNav1.2flox/floxマウスを用い、線条体特異的にCre リコンビネースを発現するGpr88 promoter Cre マウスと掛け合わせてNav1.2を線条体特異的にノックアウトしたマウスを作製し、運動異常および社会的新奇性に対する嗜好性の軽度な不全が観察された。生理学的解析を山川グループ、病理学的解析を貫名グループが行なっている。病理学的検索の過程で大脳皮質から黒質に無髄線維の回路の存在が示唆され、これを検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
1)中枢神経における無髄神経の同定(貫名・宮崎グループ):継続→発表:現在起始細胞の同定を目指している。脳梁無髄神経に関しては大脳皮質顆粒細胞に富む皮質4層細胞で起始細胞と想定される細胞にGFPをアデノ随伴ウィルスを用いて発現し、最終確認を行う。論文投稿を目指す。2)無髄神経系の特徴的なsodium channel等の構成分子群の同定:継続(貫名・宮崎グループ)3)線条体投射線維のNav1.2,beta4結合タンパク質の解析:継続(貫名・宮崎グループ) 4)小脳特異的Nav1.2ノックアウトマウスの作製:継続(貫名・宮崎グループ)5)Golliコンディショナルノックアウトの論文投稿(貫名・宮崎グループ) 6)Nav1.2 のノックアウトマウスの解析(山川グループ)、病理学的解析(貫名・宮崎グループ)の結果を報告する。
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Research Products
(8 results)