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2017 Fiscal Year Annual Research Report

統合失調症生起・転帰の縦断的メカニズムの解明

Research Project

Project/Area Number 17H01574
Research InstitutionInstitute of Physical and Chemical Research

Principal Investigator

吉川 武男  国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, チームリーダー (30249958)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 木村 英雄  国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター, 神経研究所, その他 (30321889)
大西 哲生  国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 副チームリーダー (80373281)
Project Period (FY) 2017-04-01 – 2020-03-31
Keywords統合失調症 / 酸化ストレス / 炎症ストレス / poly I:C / 硫化水素 / DNAメチル化
Outline of Annual Research Achievements

統合失調症のモデルマウスとして、E12-16にかけてpoly I:C 20 mg/kgをC56BL/N母マウスに5日間投与して生まれた仔を用いた。仔マウスが13-14週齢に達したとき脳を採取し、前頭葉で遺伝子発現レベルをTaqMan法で測定した。3つの硫化水素産生系の酵素遺伝子のうちMpstとCbsの発現レベルは、poly I:C処置マウスで対照群に比較して有意に増加していた。MpstとCbs遺伝子に関しては、DNAメチル化解析を行ったが、poly I:Cモデルでは有意なメチル化変動は検出されなかった。エンハンサー領域やゲノム上離れた転写制御領域の検討が今後必要である。また、poly I:Cモデルでイオウの生化学的解析を行ったが、遊離イオウ、結合型イオウ含量とも対照群と差はなかった。この結果は、イオウの生化学的検出の感度は弱いため、MpstとCbs遺伝子発現の変動幅が十分でなかった可能性がある。
一方マウス近交系で、C3H/HeNはC57BL/6Nと比較して行動表現型が統合失調症に近く、Mpst遺伝子発現レベルが上昇しており、Mpst遺伝子のgene bodyのメチル化が亢進していた。また、C57BL/6Nに硫化水素発生剤を投与すると、統合失調症様の行動表現型が出現した。
以上の結果から、統合失調症のモデルマウス(poly I:C投与マウス)では、脳発達期の酸化・炎症性ストレスによって、硫化水素産生系の酵素遺伝子の発現増加が成体まで継続しており、また近交系モデルマスでは遺伝子発現上昇に対応するメカニズムとしてDNAメチル化を介するエピゲノム変化が認められた。硫化水素は、抗炎症、抗酸化作用があるため、ストレスに対する代償反応の過剰がエピゲノム変化その他のメカニズムとして記憶される可能性が考えられる。硫化水素過剰産生の機能的帰結の解明を今後目指す。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

統合失調症の発症基盤として、脳発達期の炎症その他ストレスの役割の重要性が繰り返し指摘されているが、今回poly I:C投与マウスで、硫化水素産生系の酵素遺伝子の発現増加が成体まで継続していることを確認できた。

Strategy for Future Research Activity

「過硫化ストレス」の機能的帰結にアプローチすることが重要であると考えており、Mpst KOマウス、Mpst Tgマウス、および疾患死後脳等を用いて、パルミトイル化の評価その他の解析を推進していく。

URL: 

Published: 2018-12-17  

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