2018 Fiscal Year Annual Research Report
Elucidation of oocyte molecular mechanism on imprinted X chromosome inactivation enabling a sequential development
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17H01588
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Research Institution | National Center for Child Health and Development |
Principal Investigator |
阿久津 英憲 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 生殖医療研究部, 部長 (50347225)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐渡 敬 近畿大学, 農学部, 教授 (70321601)
中林 一彦 国立研究開発法人国立成育医療研究センター, 周産期病態研究部, 室長 (10415557)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | X染色体不活化 / 胎盤発生 / クロマチン / ヒストン修飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
X染色体を2つ持つ雌細胞(XX)では、遺伝子発現量補正のため一方のX染色体の遺伝子発現が抑制される(X染色体不活化)。ヒトでは、X染色体不活化の乱れが流産、不育症や胎盤の機能不全、さらに成体(女性)での乳癌、肺癌などの悪性腫瘍や早期卵巣不全、卵巣の加齢などとも関係することが指摘されている。このX染色体不活化は着床前期の胚盤胞期で決まった状態が一生維持されることになる。卵子~受精卵~着床期でのX染色体不活化プログラムを明らかにすることは、女性の健康に関わる生命動態を「女性の細胞」視点で明らかにすることである。本研究では、X染色体不活化動態が胚発生時空間的にダイナミックに変動するのに合わせ3区分にテーマ化し研究を重点的に進める。1) 卵子形成から受精を経て着床まで、2) 着床期から胎盤発生過程、そして3) 着床期から個体発生過程の3区分を最終的に一気通貫の発生時空間的に評価するとともに、幹細胞モデルの多様性に体してX染色体不活化動態から発生に裏打ちされたエビデンスを通し幹細胞の質を確定することで再生医学や腫瘍生物学の新たな分子基盤を構築する。今年度は、テーマ1)から3)のフェーズとして、X染色体不活化の確立と維持に関わる機能として、SmcHD1遺伝子の発現が関与することを明らかにできた。SmcHD1が不活化領域でH3K27me3の集積を促しその後の不活化の確固とした維持に繋がる他のクロマチンファクターの集合を促す知見を得た。これは、未だ解明されていない着床期以降のX染色体の選択と維持の機能の分子機能解明に向けた大きな知見である。さらに、X染色体不活化解析に関する技術的な総説を編集・発表し本分野の研究発展に貢献するものであった。今後、テーマ3)の研究基盤となる機能性をもつ胎盤分化系構築を経て受精から個体・胎盤発生段階でのX染色体不活化機序解析を進めて行く。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、X染色体不活化動態が胚発生時空間的にダイナミックに変動するのに合わせ3区分にテーマ化し研究を重点的に進める。1) 卵子形成から受精を経て着床まで、2) 着床期から胎盤発生過程、そして3) 着床期から個体発生過程の3区分を最終的に一気通貫の発生時空間的に評価するとともに、幹細胞モデルの多様性に体してX染色体不活化動態から発生に裏打ちされたエビデンスを通し幹細胞の質を確定することで再生医学や腫瘍生物学の新たな分子基盤を構築することをめざしている。今年度は、テーマ1)から3)のフェーズとして、X染色体不活化の確立と維持に関わる機能として、SmcHD1遺伝子の発現が関与することを明らかにできた。SmcHD1が不活化領域でH3K27me3の集積を促しその後の不活化の確固とした維持に繋がる他のクロマチンファクターの集合を促す知見を得た(Sakakibara Y, et al. Development 2018)。これは、未だ解明されていない着床期以降のX染色体の選択と維持の機能の分子機能解明に向けた大きな知見である。さらに、X染色体不活化解析に関する技術的な総説を編集・発表し本分野の研究発展に貢献するものであった(“X-Chromosome Inactivation” Methods and Protocols. Methods in Molecular Biology 2018; Editors: Takashi Sado.)。概ね、順調な計画進行であり、今後、テーマ2)の研究基盤となる機能性をもつ胎盤分化系構築を経て受精から個体・胎盤発生段階でのX染色体不活化機序解析を進めて行く。
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Strategy for Future Research Activity |
研究テーマ2) 着床期から胎盤発生過程、そして3) 着床期から個体発生過程に関してX染色体不活化の分子機序に関する研究を統合的に進めていく。テーマ3)のフェーズとして、X染色体不活化の確立と維持に関わる機能として、SmcHD1遺伝子の発現が関与することを明らかにできた。引き続き、クロマチン修飾の知見を深め着床期以降のX染色体の選択と維持の機能の分子機能を明らかにしていく。テーマ2)では、研究基盤となる機能性をもつ胎盤分化系構築を経て受精から個体・胎盤発生段階でのX染色体不活化機序解析を進めて行く。
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Research Products
(8 results)