2019 Fiscal Year Annual Research Report
上咽頭癌発癌ならびに多様性獲得分子機構の解析と新規治療法の開発
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17H01590
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
吉崎 智一 金沢大学, 医学系, 教授 (70262582)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 寿史 金沢大学, 附属病院, 講師 (20547179)
遠藤 一平 金沢大学, 附属病院, 助教 (30547154)
波多野 都 金沢大学, 附属病院, 助教 (30557484)
近藤 悟 金沢大学, 附属病院, 講師 (70436822)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 上咽頭癌 / Epstein-Barr ウイルス / オートファジー / 細胞競合 / 内因性免疫 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は多様な細胞集団からなる上咽頭癌組織構築過程をEpstein-Barr ウイルス(EBV)、内因性免疫、オートファジーを柱として解明し、新規治療戦略を開発することを目的として遂行してきた。EBVと細胞に備わる内因性免疫の相互作用がミトコンドリア不良化に及ぼす影響としてAPOBEC発言がミトコンドリアDNAにおける変異導入と相関すること、転移能獲得と相関することから上咽頭上皮細胞が癌幹細胞化し多様に分化した癌細胞集団を形成する過程を分子レベルで解明することができた。 特に2019年度は、癌治療における喫緊課題である薬剤耐性獲得上咽頭癌細胞分画に対する有望なアプローチとして見いだした細胞競合・オートファジーを応用した新規治療法を開発することを中心に研究成果が挙げられた。具体的にはタイムラフス顕微鏡下にEBVがん遺伝子LMP1を発現させた咽頭上皮細胞株NP69とlを発現しないNP69を混合培養すると正常細胞ががん遺伝子発現細胞をプッシュアウトする現象が観察された。このことは哺乳類の正常細胞とがん細胞の間でも細胞競合が起こっていることを強く示唆する所見である。 また、上咽頭癌由来細胞株C666-1とオートファジー阻害効果のあるクロロキンを用いた研究で、細胞の生存率に影響を与えない濃度のクロロキンと細胞の生存率の影響を与えない濃度の抗がん剤シスプラチンの同時併用により細胞死誘導機構が増強されることが判明した。この結果はオートファジー阻害による抗がん剤の効果増強を有害事象の増強なしに行うことが可能であることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
多様な細胞集団からなる上咽頭癌組織構築過程をEpstein-Barr ウイルス(EBV)、内因性免疫、オートファジーを柱として解明し、新規治療戦略を開発することを目的としている本申請において 1) EBVと細胞に備わる内因性免疫の相互作用がミトコンドリアに特異的な変異を誘導していることを明らかにし、その変異蓄積ががん細胞の転移能と相関することを解明することができた。 2) 癌治療における喫緊課題である薬剤耐性獲得上咽頭癌細胞分画に対する有望なアプローチとして見いだした細胞競合・オートファジーを応用した新規治療法として上述のタイムラフス顕微鏡下に正常細胞とがん細胞の細胞競合現象においてがん細胞の駆逐現象を観察することができた。また、クロロキンによるオートファジー増強がシスプラチンによる抗腫瘍効果を増強することを明らかにすることができた。 これらの研究成果により、次世代の上咽頭癌研究ならびにオートファジー制御による治療法開発の礎を築くことができていると判断し、上記評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
タイムラフス顕微鏡下にEBVがん遺伝子LMP1を発現させた咽頭上皮細胞株NP69とlを発現しないNP69を混合培養すると正常細胞ががん遺伝子発現細胞をプッシュアウトする現象を増強する方策として、イベルメクチンによるオートファジー活性化もしくはクロロキンによる阻害、酸素分圧、アロマターゼやエストロゲン刺激の効果を検証する。 本研究は概ね順調に進展したため以下の新たな課題により組む。 上咽頭癌とEpstein-Barr ウイルス(EBV)の病因論的解析においてEBV複製亢進は上咽頭癌発癌の最上位リスクファクターである。一方でウイルス複製が誘導された細胞は通常がん化するどころかウイルス放出時に破裂して死滅する。学術的に未解決なこの難問に対して示唆的な研究結果が今年報告された。それは、EBV関連リンパ腫においてEBV複製遺伝子発現調節領域に変異を有するバリアントが高頻度で検出されることである。そこで本年度は1)上咽頭癌におけるEBVバリアントの存在頻度ならびにその特徴 2)上記ウイルス株におけるウイルス複製誘導時のEBVと感染上皮細胞の動態 3)EBV複製マスターレギュレーターBZLF1が感染細胞や周囲微小環境に及ぼす影響 について解析を進める
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[Journal Article] Third Epidemiological Analysis of Nasopharyngeal Carcinoma in the Central Region of Japan from 2006 to 20152019
Author(s)
Kanno M, Narita N, Fujimoto Y, Wakisaka N, Yoshizaki T, Kodaira T, Makita C, Sato Y, Yamazaki K, Wakaoka T, Shimode Y, Tsuji H, Kito R, Ishinaga H, Hosokawa S, Takakura H, Nishimura K, Matoba T, Fujieda S.
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Journal Title
Cancers
Volume: 11
Pages: 1180~1180
DOI
Peer Reviewed / Open Access
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[Journal Article] Pembrolizumab alone or with chemotherapy versus cetuximab with chemotherapy for recurrent or metastatic squamous cell carcinoma of the head and neck (KEYNOTE-048): a randomised, open-label, phase 3 study2019
Author(s)
Burtness B, Harrington KJ, Greil R, Soulieres D, Tahara M, de Castro G Jr, Psyrri A, Basté N, Neupane P, Bratland A, Fuereder T, Hughes BGM, Mesia R, Ngamphaiboon N, Rordorf T, Wan Ishak WZ, Hong RL, Gonzalez Mendoza R, Roy A, Zhang Y, Gumuscu B, Cheng JD, Jin F, Rischin D; KEYNOTE-048 Investigators.
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Journal Title
The Lancet
Volume: 394
Pages: 1915~1928
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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