2017 Fiscal Year Annual Research Report
カテニンを介したカドへリン複合体ならびにWnt経路制御による癌転移抑制薬剤の開発
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17H01602
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
丹沢 秀樹 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (50236775)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小河原 克訓 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任研究員 (20372360)
皆川 康之 千葉大学, 大学院医学研究院, 特任助教 (30639787)
坂本 洋右 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (50451745)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 口腔扁平上皮癌 / ALY / GAD1 / HTR2C / KLK13 / βcatenin / Wnt / Cadherin |
Outline of Annual Research Achievements |
先行研究において細胞接着を制御する主要な因子は、それぞれにカスケードを成し、さらに網の目のようなネットワークを構成すること、またこのネットワークを構成する以下5種類のカスケード(HTR2C-Lin7C-CASK-βcatenin-cadherin カスケード制御、GAD1のβcatenin リン酸化阻害によるWnt 経路制御、Aly→RRP18-CD82カスケード、KLK13→Desmosome構成成分、KLK13→Cadherin構成成分)に関し、個々のカスケードによる細胞接着の抑制が癌転移と強く相関していることを報告した。本研究は、口腔扁平上皮癌、腺癌、悪性黒色腫などの細胞株を用いて、このネットワークおよび各カスケード間の相互作用を明らかにし、転移抑制薬剤の開発を前臨床試験まで行うことを目標とする。本年度は、口腔扁平上皮癌、腺癌の細胞株について、shRNAおよびplasmidベクターを使用し各制御遺伝子(HTR2C, GAD1, Aly, KLK13)の遺伝子抑制細胞株を樹立しmRNAおよびタンパクの発現確認を行った。また、遺伝子抑制細胞株を用いて機能解析を行ったところ、細胞浸潤能および遊走能の低下を認めた。βcateninと関連した遺伝子カスケードを構成する遺伝子群の発現変化を、qRT-PCR法を使用し確認を行った。また、文献およびパスウェイ解析ソフトを用いてGAD1を阻害する転移抑制阻害薬候補を検索・同定した。さらに、癌細胞移植マウスを使用したin vivoでの実験を行った。各制御遺伝子の転移抑制阻害候補薬剤を用いて投与実験を行い、細胞移植マウスより摘出した各種臓器からgDNAを抽出し、qRT-PCR法で解析した。結果、候補薬剤投与群マウスでは転移個体数が著名に減少していた。以上の結果は癌転移治療に大きな意義を持つと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度に予定していた研究計画については、おおむね順調に達成できた。これまでの研究成果は、次年度以降の研究計画に大きく寄与できる結果であり、本年度の実績としては順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
各制御遺伝子のshRNAを導入する細胞腫のサンプル数を増やし科学的に立証していく。さらに、転移抑制候補薬剤を使用し、機能解析および細胞接着機構の活性評価を行っていく。また、in vivoにおける遺伝子抑制細胞株および転移抑制候補薬剤を用いた転移実験を引き続き行う予定である。
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