2018 Fiscal Year Annual Research Report
ベーリング海堆積物掘削:氷期‐退氷期の北太平洋中深層水の起源域と時空間変動解明
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17H01617
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
岡崎 裕典 九州大学, 理学研究院, 准教授 (80426288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 宰 北海道大学, 低温科学研究所, 准教授 (30374648)
原田 尚美 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境観測研究開発センター, 研究開発センター長代理 (70344281)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 海洋循環 / 北太平洋 / 最終氷期 / 最終退氷期 |
Outline of Annual Research Achievements |
2018年7月22日より9月13日まで実施されたロシア船Multanovskiy号航海に、研究代表者の岡崎裕典が乗船した。5 mもしくは7 m長さの採泥管を使用したピストンコアによる堆積物コア試料の採取を行った。研究対象海域は、ベーリング海西部のカムチャッカ海峡、シルショフ海嶺、および北部陸棚斜面域である。結果的に5本のコア試料を採取した。採取した堆積物コア試料は、船上で半割、記載、色測定、および帯磁率測定を行った。船上での予察的な観察結果に基づき、カムチャッカ海峡と北部陸棚斜面域のコア試料が古海洋環境復元に適していると判断し、集中的に分析を行うこととした。下船後、高知コアセンターに試料を送付し、XRFコアスキャナーとマルチセンサーコアロガーを用い、上記2本のコア試料の非破壊分析を行った。XRFコアスキャナーでは、各元素濃度をコア深度方向に測定した。マルチセンサーコアロガーでは、帯磁率とガンマ線密度の測定を行った。特に放射性炭素年代測定に必要な有孔虫量を反映するカルシウム濃度や、生物生産を反映する臭素やバリウムの濃度、陸起源砕屑物量を反映するチタンやアルミニウム、磁性鉱物量を反映する帯磁率の変化に注目し、今後主に分析を行う層準の目当てを付けた。非破壊分析完了後に、北海道大学低温科学研究所において、カムチャッカ海峡で採取された堆積物コア試料のサブサンプリングを行い、九州大学と北海道大学にそれぞれ個別分析用の試料を分けた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画ではカムチャッカ海峡で2本、シルショフ海嶺で1本、北部陸棚斜面域で1本の合計4本の堆積物コア試料を採取し、研究に使用する予定であったが、航海計画と得られた試料の質の問題から、カムチャッカ海峡のコア試料1本と、北部陸棚斜面域で1本の合計2本で研究を行うこととなった。
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Strategy for Future Research Activity |
カムチャッカ海峡のコア試料を中心に下記の分析を進める:(1)生物源オパール含量、(2)放散虫中層種の産出、(3)有孔虫の放射性炭素年代測定、(4)アルケノン古水温。また、コア試料の空間分布を補完するため、ベーリング海南部で以前採取された堆積物試料の有孔虫放射性炭素年代測定を進める。
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