2017 Fiscal Year Annual Research Report
Archaeological Research of the Plaza of the Columns Complex at Teotihuacan
Project/Area Number |
17H01650
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
杉山 三郎 愛知県立大学, 国際文化研究科, 特任教授 (40315867)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
植田 信太郎 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (20143357)
佐藤 悦夫 富山国際大学, 現代社会学部, 教授(移行) (40235320)
井関 睦美 明治大学, 商学部, 専任教授 (50439238)
水野 文月 東邦大学, 医学部, 助教 (50735496)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | テオティワカン / 古代都市 / メソアメリカ / 認知考古学 / モニュメント建築 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き、古代都市テオティワカンの中心部に位置する「石柱の広場」複合体の発掘調査を、平成29年7月下旬より10月初旬まで実施した。トレンチとトンネル発掘調査を愛知県立大学が担当するB地区とF地区で進め、その後の遺物分析を10月から継続して平成30年3月まで行い、具体的な年代を示す資料と共に広大な建築複合体の機能、それぞれの改築・増築史を少しつ把握しつつある。 「石柱の広場」北の大マウンド(Structure 25C)は前面(南面)の破損が激しくそこからのトンネル調査が危険なため、マウンドの北側(北面)からトンネル発掘により、さらに古い時代のマウンドの存在を確認した。ほぼマウンドの中心地点でピラミッド形式でない建造物であり、「石柱の広場」が作られる前時期に属するものである。また代表者が一部担当したD地区の建築複合体発掘では、平成28~29年度にマヤ形式の壁画破片が大量に発見された地区であり、また生贄儀礼の痕跡が発見された地点にも近く、新しいテオティワカン様式の壁画が発見された。さらに「太陽の広場北の複合体」におけるF地区はトレンチ発掘を2地点で行い、西の中心マウンド(Structure 9A)の東側が従来考えられていた階段がないことが明かになった。 これらの発掘や遺物分析の成果は、平成30年4月のアメリカ考古学総会(ワシントンDC)にてシンポジウム「石柱の広場」プロジェクトとして共同研究者と共に発表した。また平成29年10月のテオティワカン円卓会議でも発表を行った。さらにメキシコ政府の考古学審議会には、詳細な発掘報告書(合計572ページ)を平成30年夏の発掘調査の計画書と共に、本年4月末に提出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
発掘調査計画はメキシコ政府考古学審議会により認可され、予定通りの発掘を実施し、儀礼の行われた痕跡が大量の土器をはじめとする遺物と共に発見され、テオティワカンやマヤ形式の壁画の発見、さらに生贄儀礼の痕跡(人骨)も出土している。遺物分析(土器、土偶、黒曜石、石彫、人骨、動物骨、動植物破片など)と年代測定用サンプルは、テオティワカンの遺跡公園内にある研究施設(Casa del Rio)と、愛知県立大学の協定校アリゾナ州立大学の考古学ラボラトリー、他国の専門ラボラトリーにて分析中であり、さらに現在補修工事をしているテオティワカン遺跡公園内にある研究施設(ガミオ研究棟)にても継続して行う予定である。 本国際プロジェクトでは、今後の発掘調査や遺物分析などの成果を、できる限り他の専門家や学生、また一般人にもアクセスできるよう、2か国語の「石柱の広場」プロジェクトのウェブサイトを昨年度から公開している。さらに、30年の3月には日本語サイトの一部も開設した。 英語サイト http://ppcteotihuacan.org/en/home/ スペイン語サイト http://ppcteotihuacan.org/es/pagina-de-inicio/ 日本語サイト http://db.csri.for.aichi-pu.ac.jp/plaza_of_columns_complex_jp/
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表者が総括する国際プロジェクトの再編成を平成30年度から行い、今まで分散して行っていた愛知県立大学、メキシコ政府研究所、ジョージ・メイソン大学、ハーバード大学との共同発掘調査を、本年7月より同時に共同で、より密な連絡を取り合い行うこととする。本科学研究費による領域BとFの調査も本年7月から9月にかけて行い、発掘遺物の整理・分類・分析作業を夏から継続して平成31年3月まで、現地の研究センターにて行う予定である。特に「石柱の広場」北側の建築複合体は、マヤ形式の壁画破片、また生贄儀礼の痕跡(人骨)や「神話の動物群」の壁画がかつて発見された地点にも近く、合同調査として広域の集中発掘を計画している。さらに北のマウンド内でのトンネル発掘も継続して行い、「石柱の広場」が造られる以前の建築について調査を続ける。 発掘調査と並行し、前科学研究費で行った3次元測量LiDARによる古代都市を含む130平方キロメートルの現地踏査を、ジョージ・メイソン大学の研究メンバーと共に行う計画である。 例年通り、考古学学会総会での研究発表、来年度31年の春にはメキシコ政府へ提出する詳細な発掘報告書の作成を同時に行う予定であり、同時に英語による編集本と学術雑誌(Ancient Mesoamerica, Cambridge University Press)のセッションへの投稿を計画中である。
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