2017 Fiscal Year Annual Research Report
Economic development and institutional change in rural communities: comparative institutional analysis using micro-level panel data
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17H01653
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Research Institution | Aoyama Gakuin University |
Principal Investigator |
加治佐 敬 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (50377131)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻井 武司 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 教授 (40343769)
横山 繁樹 国立研究開発法人国際農林水産業研究センター, 社会科学領域, 主任研究員 (30425590)
不破 信彦 東京大学, 大学院公共政策学連携研究部・教育部, 教授 (90302538)
樋口 裕城 名古屋市立大学, 大学院経済学研究科, 講師 (60757269)
會田 剛史 独立行政法人日本貿易振興機構アジア経済研究所, 開発研究センターミクロ経済分析研究グループ, 研究員 (40772645)
橘 永久 千葉大学, 大学院社会科学研究院, 教授 (70301017)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 開発経済学 / 実証分析 / フィールド実験 / アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
このプロジェクトでは、調査対象として選ばれた4か国の6地域で順次現地調査を展開してゆく計画である。それぞれの地域を担当する調査班が組織されているが、初年度である2017年度は、フィリピン・ラグナ州の調査村で悉皆調査によるパネルデータの構築を行った。この調査の目的は、(1)自然災害への対応として活用されてきた伝統的な相互扶助の役割が、国による社会保障の充実と並行してどのように変容しているのか、(2)自然災害やそれに伴う相互扶助や援助の経験は、利他性や公共性といった社会選好や個人の時間選好をどう変化させるのかという点を解明することにある。なので、今回の調査では、過去のデータと比較可能な形式で、相互扶助の行動の詳細な記録を行った。社会選好に関しては2015年にゲーム実験によって集めたベースラインデータがあるので、これも比較可能となるように同じプロトコルでゲーム実験を行った。来年度以降の分析の準備が整ったと言える。 他の地域の調査班は、来年度以降の調査に向け、予備調査や現地カウンターパートとの計画立案を行った。 データ収集とその準備に加え、既に手元にある過去のベースライン調査の分析も進めた。フィリピン・ボホール担当の調査班は、灌漑管理の制度進化に関する研究として、灌漑技術の導入が灌漑用水の共同利用を通して農家の相互依存を強めているという結果を得、それが査読付き国際ジャーナルに掲載確定となった。スリランカ班は、灌漑の共同管理を通して利他性が強化されていることを発見した論文を学会で発表した。ネパール班は当該国においてガス燃料が薪に代わる燃料として登場したことにより、森林資源が復活の兆しを見せ、森林管理制度も整ってくるという今までは考えられなかった好循環の過程が芽生えているという興味深い報告を学会等で行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
フィリピン・ラグナ州における調査はほぼ計画通り進み、分析可能なデータが整備された。ただし、同地域の調査は、雨季と乾季のうち、乾季の調査が年度を超えて行わなければならなくなったため、2018年度の継続案件とした。他地域の調査の準備も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
フィリピン・ラグナ州の担当は、前年度収集したデータの分析を始めると同時に、継続案件として乾季分のデータ収集を続ける。新規調査としては、ネパールとスリランカで各担当班がデータ収集を行う計画である。調査が2019年度以降の調査班は引き続き、準備を進める。
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Research Products
(14 results)