2018 Fiscal Year Annual Research Report
Evolutionary biology of coexisting dynamics in snail chiral dimorphism
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17H01673
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
浅見 崇比呂 信州大学, 学術研究院理学系, 教授 (10222598)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 仁 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (10291957)
堀 道雄 京都大学, 理学研究科, 名誉教授 (40112552)
松野 健治 大阪大学, 理学研究科, 教授 (60318227)
遠藤 一佳 東京大学, 大学院理学系研究科(理学部), 教授 (80251411)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 有肺類 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、マレイマイマイ属で、発生の鏡像型と実像型(左右二型)が持続的に共存するメカニズム、および巻貝一般に特徴的な鏡像進化を抑制・促進する要因を検証することにある。同一集団の右巻と左巻は、たとえ交尾できなくても、遅滞遺伝ゆえにゲノムを共有し、同所的には種分化しない。むしろ、多数派と交尾できない少数派が淘汰され、集団は単一の巻型に固定する。この原理に反する二型現象は、古典的なパラドックスとして知られる。これまでに、東南アジアに広く分布する本属に着目し、豊富に現存する野生集団を発見し、二型が積極的に共存する事実をつきとめた。交尾様式から不可能とされてきた異型交尾(右巻×左巻の交尾)を本属が容易に行うことを発見した。その結果、それでは説明できない二型頻度の事例が発展問題として浮上した。本学術調査の主眼は、以上の経緯から導かれる左右性の生態機能を理解することにある。豪雨による土砂崩れが発生し、丘陵地帯の幹線道路が寸断され、現地の研究協力者との日程調整の結果、乾季をまたいで左右二型共存動態の定点継続調査・分析を実施した。左右二型集団における齢構成及びサイズ構成を比較する統計解析を行った。齢構成及びサイズ構成のいずれにおいても年間の変動が統計的に有意に検出されるものの、それらの変動パターンに有意な周期性は検出されていない。熱帯林において確度の高い定量データを得ることのできる定点調査を遂行するために必要となる地理・地形・気候等の条件を現地の研究協力者チームの協力を得て収集した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
左右二型が同一種の同一集団に共存する動態の長期観測を継続し、二型が積極的に維持されている実態を明らかにする定量データを蓄積した。天候・自然災害に対応した調査計画の遂行により、本研究プロジェクトの根幹である定点長期観測を継続し、今後の安全性かつ科学研究における生産効率を最優先しての実験アプローチによる行動・生活史分析を展開した。
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Strategy for Future Research Activity |
天候条件に左右されるフィールド調査を安全かつ効率的に長期継続するための情報収集を推進し、本国際共同研究における先方機関の研究協力者チームとの綿密な打ち合わせにより、さらなる協力体制を構築する。生活史・繁殖生態の定量解析を可能にする実験系の開発を推進する。
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