2018 Fiscal Year Annual Research Report
高精度なアクセスパターン予測に基づく省電力大容量ストレージシステムに関する研究
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17H01718
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
加藤 和彦 筑波大学, システム情報系, 教授 (90224493)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷部 浩二 筑波大学, システム情報系, 准教授 (80470045)
阿部 洋丈 筑波大学, システム情報系, 准教授 (00456716)
岡 瑞起 筑波大学, システム情報系, 准教授 (10512105)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ストレージシステム / 省電力 / データセンタ / 機械学習 / アクセスパターン予測 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の主要な成果としては,まず,前年度の研究によって得られたシステムの基本設計を見直し,時間とともにアクセス頻度が上昇するようなファイルの格納方法を工夫することによる改良を行った。これにより,前年度の研究で得られたシステムと比べ,省電力モードにあるディスクの起動を削減することができるようになった。また,シミュレーションによる性能評価については,これまでの研究で得たアイディアをもとに,システムにアップロードされるファイルの属性情報がクライアントの集団の中で生成される過程を模したシミュレータの開発を進めた。これにより,SNS上で生成されるファイルの人気度を,ユーザのフォロー関係などのパラメータによって変化させながら,さまざまな場合におけるシステムの省電力性能の評価が可能となった。さらに,前年度から行ってきた現実の写真共有サイトにおけるアクセスパターンの取得については,当初予定していた通りのデータを得ることができた。またこれをもとに,アクセスパターンの解析を行い,機械学習の手法を用いたアクセスパターンの予測アルゴリズムの開発を行った。 以上で得られた成果をもとに,今年度はシミュレーションによるシステムの評価を行った。その結果,現実の写真共有サイトと同様の環境で3,000時間稼働させた場合に,本研究によって提案された手法が通常のシステムの消費電力量を約12%削減することを示した。 一方,ファイルのメタ情報をもとにしたより高精度なアクセスパターンの予測手法や,実機を用いた実装実験などについては,今後の研究課題として残されている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題は,大きく分けて,(1)システムの基本設計,(2)シミュレーションによる評価,(3)リアルデータの取得と機械学習によるアクセスパターン予測アルゴリズムの開発,(4)試作実装による評価の4つを目標としている。今年度は,特に(1)~(3)について前年度の成果を発展させることが計画されており,いずれも概ね想定通りの成果を得ることができたと言える。 システムの基本設計については,前年度に得られた結果をさらに改善し,より省電力効果の高い方式を得ることができた。シミュレーションによる評価についても,前年度に課題となっていたクライアント側で生起するファイルのメタ情報をモデル化したシミュレータを作成した。さらに,リアルデータの取得については当初の計画通りのデータを得ることができ,またアクセスパターンの予測アルゴリズムの開発についても,未だ改善の余地はあるものの,順調に遂行している。 一方,ファイルのメタ情報をもとにしたより高精度なアクセスパターンの予測手法や,実機を用いた実装実験などについては,最終年度の課題として残されているが,本研究課題の期間内での遂行が可能であると考えられる。 以上のことから,これまでの研究の進捗状況は,おおむね順調に進展していると評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である次年度の研究計画としては,システムの設計の完成度を高めるとともに,より実システムに近い環境で実装実験を行うことを計画している。具体的には,昨年度までの研究で得られたシステムを実機の上に構築し,さらに機械学習をもとにしたアクセスパターン予測の手法を適用することにより,省電力性と応答性の面からより高性能なシステムを構築することを目指す。また,実験による評価を通じて,さまざまな改良を加えながら完成度の高いシステムへと発展させる。特に,アクセスパターン予測のアルゴリズムについては,最終年度においてもさらに改良を重ねることを予定している。 また,より汎用性の高いシステムを構築するために,これまで扱ってきた写真共有サービス以外にも,例えば学習管理システムや高精細の医療画像処理など,実際のアクセスログが得られる範囲で,他の分野のシステムについても研究対象とすることを計画している。
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Research Products
(1 results)