2018 Fiscal Year Annual Research Report
Architecture for High Performance and Energy Efficient ICN Router
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17H01733
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
長谷川 亨 大阪大学, 情報科学研究科, 教授 (70576264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
津川 翔 筑波大学, システム情報系, 助教 (40632732)
小泉 佑揮 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (50552072)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 情報指向ネットワーキング |
Outline of Annual Research Achievements |
低消費電力と高性能を両立するプリフェッチ及びキャッシュアルゴリズムを設計した。第一に、平成29年度に開発したプリフェッチアルゴリズムは、DRAMからのアクセス時間を、連続するパケットを同時処理することで隠蔽する。一方CPUコア数が増加すると、DRAMのアクセス時間が増加し、隠蔽しきれなくなることを明らかにした。これに対してアルゴリズムをN個のパケットを同時処理するよう一般化した。 第二に、CPUコアへ割り当てるパケット数が不均一になると、パケット転送速度が低下するとともに、転送時間も長くなり消費電力も多くなることが課題である。これに対して、負荷の高いCPUコアへ割り当てられたパケットを他のCPUコアに割り当て直すスケジューリングアルゴリズムの開発を開始した。 第三に、コンテンツが大容量化すると、コンテンツをチャンクに分割したICNネットワークでは、キャッシュヒット率が低下する課題に対して、大容量と小容量のコンテンツが混在する場合の低下を解析するモデルを開発して、その原因を明らかにするとともに、この課題を解決するキャッシュアドミッションアルゴリズムを開発した。 第四に、コンテンツの符号化レートを変更する可変レート符号化をICNで用いる場合の課題を明らかにした。キャッシュで蓄積されたコンテンツは、短時間で返送されるため、受信者は往復遅延時間が短くなったと判断して、要求する符号化レートを増大するが、輻輳は解消されておらず、再度、符号化レートを減少することが課題となる。 第五に、ソーシャルメディア上のコンテンツの将来の人気度を予測する手法を開発した。ソーシャルメディアユーザ間の関係を表現したソーシャルネットワークが将来のコンテンツの人気度を予測するのに有用であることを示した。ここで開発したコンテンツの人気度予測手法は、ルータにおけるコンテンツキャッシュアルゴリズムの改良に利用できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年目の目標の,(1)ルータアーキテクチャの開発、(2)メモリ参照最小化スケジューリングの開発、(3)大容量コンテンツ向きキャッシュアルゴリズム開発、(4)コンテンツの人気度予測モデルの開発を達成している。 (1)CPUコアへ割り当てるパケット数が不均一になる場合も、高い性能を提供できるよう、負荷の高いCPUコアへ割り当てられたパケットを他のCPUコアに割り当て直すスケジューリングアルゴリズムの開発を進めた。第一ステップとして、同じ名前宛のパケットを異なるCPUコアに割り当てると、同じPITエントリと呼ぶデータ構造の一貫性を保つ必要があるため、一貫性を保つためにCPUデバイスが提供する同期命令を用いると10%以上、パケット転送速度が低下することを明らかにした (2)プリフェッチアルゴリズムを、キャッシュアルゴリズムに適用可能とするとともに、動作するCPUコア数が増加してもDRAMアクセスを完全に隠蔽するように改良した。具体的には、N個のパケットを同時処理するように一般化するとともに、N=3個の場合にDRAMのアクセス時間を完全に隠蔽できることを明らかにした。 (3)大容量と小容量のコンテンツが混在する場合のキャッシュヒット率低下を解析するモデルを開発して、その原因を明らかにした。さらに、要求の少ないコンテンツの一部であるチャンクをキャッシュに挿入しないキャッシュアドミッションアルゴリズムを設計しキャッシュヒット率低下の問題を解決できることをシミュレーションにより検証した。 (4)平成29年度に開発した、一定時間のウィンドウを導入して、受信履歴における受信時刻や頻度を減少させる用いるキャッシュアルゴリズムが、人気度が時間経過するコンテンツに対して高いキャッシュヒット率を提供できることを検証した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度の研究成果に、以下の拡張を実施する。 (1)ルータアーキテクチャの開発:平成30年度には、複数のCPUコアから構成する汎用のPCプラットフォームを用いたルータアーキテクチャを完成させた。平成30年度には、パケット転送専用のネットワークプロセサへの、開発したルータアーキテクチャの移植を行う。具体的には、P4ネットワークプロセサを対象として、平成30年度までに開発したICN用の最長プレフィクスマッチアルゴリズムを移植し、パケット転送性能を評価する。 (2)パケット割当アルゴリズムの開発:平成30年度には、受信パケット処理が集中したCPUコアに割り当てられたパケットを他のCPUコアに再割り当てするには、同じ宛先のパケットがアクセスするPITエントリへの排他制御が必要であることが必要であることを明らかにした。平成31年度には、PITエントリへの順序一貫性を満たす厳密な排他制御を不要とする弱い一貫性を定義し、定義に基づくパケットの再割り当てアルゴリズムを設計する。さらに、プロトタイプを用いてパケット転送性能ならびにエネルギー消費への影響を評価する。 (3)可変レートコンテンツ対応キャッシュアルゴリズム開発:平成30年度には、可変レート符号化を用いたコンテンツを要求する場合、キャッシュで蓄積されたコンテンツにより往復遅延時間が変化し、結果としてユーザが受信するコンテンツの符号化レートが頻繁に変化することを明らかにした。平成31年度には、往復遅延時間の変化が引き起こす符号化レートの変化を最小限にしつつ、ユーザが受信する平均の符号化レートをキャッシュを用いて増加させるコンテンツの要求アルゴリズムを開発する。
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Research Products
(7 results)