2018 Fiscal Year Annual Research Report
Massive MIMOを用いた3次元ドローンメッシュネットワーク制御の研究
Project/Area Number |
17H01738
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
平栗 健史 日本工業大学, 基幹工学部, 教授 (90582817)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 めぐみ 国立情報学研究所, アーキテクチャ科学研究系, 准教授 (10595739)
木村 共孝 同志社大学, 理工学部, 助教 (20756382)
松田 崇弘 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (50314381)
中尾 彰宏 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (60401238)
西森 健太郎 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (90500611)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ドローン / MIMO伝送 / 指向ビーム / 編隊飛行 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,小型自律無人航空機(ドローン)を用いた3次元無線メッシュネットワークを実現するための伝送方式および編隊飛行手法を提案する.ドローンを用いた中継通信やメッシュネットワークは,柔軟な編隊飛行の構成により,立体的な3次元ネットワークを実現することができる.例えば,広範囲の情報伝達だけでなく,建造物や地形に応じたこれまでにない新しいネットワークサービスを提供することが可能となる.しかし地上と異なり,障害物の無い空中での通信は,広い範囲に電波が放射されるため,帯域の占有や電波干渉など自由空間伝搬特有の課題がある.また空中に浮遊するドローンは,風などの外的要因により飛行位置が不安定となり,伝搬誤りなど通信品質に影響が生じる.しかしながら,従来研究では,このような課題を解決するための手法や通信に適した編隊飛行は議論されていない. これらの課題を解決するために,3次元指向性ビームを用いたドローン用伝送方式を提案する.提案方式は,指向性ビームにより不要な電波広がりの干渉を抑え,ビームの多重形成により帯域利用効率を向上する.また最適なビーム角度を選択することによりドローンの位置も決定される.すなわち,提案方式によって通信に最適な編隊飛行の基本構成は確立される. これらの成果として,(1)電子情報通信学会・スマート無線研究会・招待講演(H31年1月),(2)電子情報通信学会誌・小特集「ドローンがもたらす新しい世界」の掲載,(3)その他,関連する学会発表7件にて研究成果を報告している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までの研究進捗状況は,計算機シミュレーションおよび理論解析について概ね計画通りに進んでいるが,H30年度に予定していた飛行実験は,ドローンの部品が海外(中国)からの調達のために大幅に遅れ,次年度への持ち越しとなっている.しかしドローン編隊飛行の構成(形状)や,放射角度の選定は理論計算及び屋内実験にて終えており,今後,詳細な通信に関する実験を行う準備は十分に整っている.すなわちドローンの機体の準備とそこに実装する通信デバイス以外は準備が完了しているということである.また,分担研究者とも密に連絡を取り,2~3か月に1回,進捗報告会を開催しているため,プロジェクトの全体的な進捗も問題なく進められている. これまでの理論解析および計算機シミュレーションの結果をまとめ,論文化の準備を進めており,最終年度までには2件の査読付き論文を投稿する予定である.論文化のためのデータ取得は概ね終えており,現時点ではデータを評価,解析する段階である.来年度の研究の方向性についても確立できている.これまでの先行的な研究結果のまとめとして,学会発表や展示会などの対外的なアピールも研究成果として残すことができた. ただし,前述の通り飛行実験はまだ行えていない状況で,飛行実験の成果も含めて次年度の研究報告として提出できるように進めていきたい.
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Strategy for Future Research Activity |
研究課題に対する今後の研究推進方策は,今年度までに取得したデータと研究計画を元に,次年度は研究を推進する予定である. これまでに,ドローンの編隊飛行の理論的な基本構成は確立できたため,この構成を用いて複雑な立体構成へつなげていく予定である.しかし,立体的な複数台のドローンによるメッシュネットワークは,多数のオーバーリーチ干渉が生じることが予想される.これは次年度の大きな課題の一つであり,中継ドローンに対する3次元マルチビームによるルーティング経路の検討は,通信リンク数を増大させる観点より重要となる.またビームの条件はアンテナサイズで一般に決定されるため,ドローンに実装できるアンテナ開口が与えられると,自動的にビーム数が決定される.より多くのビームを作るためには,ビーム放射角度とビームが照射させる範囲(ビーム幅)を見積もる必要がある.ビーム幅はオーバリーチ干渉にも大きく影響するためルーティング経路や中継数を検討パラメータに入れて算出することにする.最終的にはこれらの技術を実装したドローンを飛行させ,実証実験を実施することを目標とする. これらの研究成果は学会発表および,査読付き論文化を早急に進めることを予定しており,既に,電子情報通信学会・通信方式研究会でも招待講演の依頼を受けているため,次年度の7月に講演予定である.
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