2018 Fiscal Year Annual Research Report
リアルタイム群集流動制御に関する基盤技術の研究開発
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17H01742
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
巳波 弘佳 関西学院大学, 理工学部, 教授 (40351738)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 明広 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (70448687)
藤原 直哉 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (00637449)
内田 真人 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (20419617)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 群集流動 / 劣通信環境 / DTN / 最適化 / アルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
大規模災害時の避難誘導のみならず,平常時における群集事故の回避や混雑解消のためにも,群集誘導の必要性が高まっている.そこで本研究では,リアルタイム群集流動制御技術の確立を目的として,群集流動制御の数理モデルの構築,制御アルゴリズムの設計を行い,実データに基づく大規模シミュレーションによる有効性評価を目標としている. これまでに主に以下の成果を得た. ・人間を含む生物のモビリティとその数理モデルに関して,まず,ヒューマンモビリティを考慮した人間関係ネットワーク生成モデルを構築した.これまでに様々なモデルが提案されているが,移動と遭遇を考慮したものはほとんどなかった.遭遇頻度分布がべき乗測にしたがうHomesick Levy Walkモデルに基づく移動・個々人の特性・遭遇時の特性の変化を考慮したモデルによって生成されるネットワークがスケールフリー性を持ち,現実のネットワークの持つ性質と整合性があることを示した. ・GPSデータ等の人流データを発災時の人口分布の設定および平常時における人口流動の設定に使用し,アドホック無線通信の有無によるリアルタイム群集流動制御の効果の検証,および災害時における避難行動の特徴の解析についても検討を行った.さらに実データから人口分布と人口流動を集計するためのシステムを実装し,日本および米国における人流データを用いて災害からの復興の地域間比較を行った. ・強い引用関係で結ばれている研究者同士は研究分野での類似性も高いという考えに基づいて,引用ネットワークから研究分野の近い研究者を検索する手法を提案した.また,Q&Aサイトに質問が投稿されたときに,その質問者の履歴に基づいて適切な回答者を選定し,質問をマッチングする手法を提案した.これらの成果は,災害時における様々な情報を収集・検索し,その情報を必要とする利用者に提示するための手法として転用可能である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
今年度は,特に群集流動制御の数理モデルの構築に関して高度化が進んだ.ヒューマンモビリティを考慮した人間関係ネットワーク生成モデルに関する研究成果に対して,国際会議INCoS2018のBest Paper Awardを受賞した.また,日本および米国における人流データを用いて災害からの復興の地域間比較に関する研究成果に対して,SIGSPATIAL2018のワークショップにおいて招待講演に選ばれた.さらに,ネットワーク設計に関する研究成果に対して,電子情報通信学会情報ネットワーク科学研究会から招待講演に選ばれた.
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Strategy for Future Research Activity |
厖大な数の人が限られた領域に集中し,通信ネットワークが必ずしも十分に機能せず,正確な地図や混雑状況も把握できない状況において,個々人が持つスマートフォンなど携帯通信機器がリアルタイムに移動方向を提示することによって群集全体を適切に制御する,リアルタイム群集流動制御の数理モデルおよび制御アルゴリズムの高度化を行い,大規模シミュレーションによる有効性評価を進める.
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Research Products
(17 results)