2018 Fiscal Year Annual Research Report
身体動作の制御理論的な分析に基づいた日常生活時の注意状態計測
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17H01765
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
近藤 一晃 京都大学, 学術情報メディアセンター, 講師 (30467609)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ヒューマンセンシング / 注意分配 / 制御モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
注意対象が1つだけあるときに優位な注意対象が発現したり,2つの注意対象が存在する状況から片方が消失するようなパターンに対して,有意な動作の違いが現れることが初年度での分析において明らかとなった.ただしそれが確認されたのは,異なる注意分配パターンにおける代表的な動作間であった.複数試行における任意の組み合わせからでも注意パターンの識別を可能とするため,次年度ではより詳細なモデルの検討を行った. 具体的には実験条件における人間の骨格モデル・力学モデルを当初よりも詳細化・一般化し,試行におけるばらつき・個人差・注意分配の違いがどのパラメータにどのように現れるのかを計測値へのモデル最適化およびシミュレーションを通して分析した.注意分配固有の変化が反映されるパラメータを見出す狙いである. その結果,同一条件下におけるばらつきは目標値の設定や初動速度の違いとして説明できることが明らかとなった.一方で初動速度は注意分配のパターン間でも様々であった.このことから実験条件ではパターン化した注意分配として与えたが,被験者の内部状態では注意分配の度合いがばらついていたことも確認された. 実験室環境における分析と並行して三豊市西香川病院にて実環境におけるデータの取得にも着手した.注意分配が現れると想定される場として,中低度の認知症患者数名と介護スタッフから成るグループお話会の様子を複数の方向から撮影した.複数の話者に対する顔向き動作からいくつかの異なる注意分配のパターンがあることが見いだされた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動作モデルの詳細化がやや遅れている.想定以上に試行間のばらつき・個人差が大きいため,試行毎に識別することは困難であることが判明してきたからである.また介護施設では明示的な注意分配を誘起するような設定が難しいため,実験室環境での成果を実環境に適用する検討段階が必要と考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の分析結果から,注意分配を離散的なパターンとみなす(パターン認識)よりも連続的に定義した上でその値を回帰推定するアプローチで動作モデルの構築を進める.また同一条件下でのばらつきが大きいことから,試行毎に厳密な値を推定するのではなく,同一の注意分配パターン下の複数試行をまとめて扱うことを検討する.本研究の応用先を考慮すると,必ずしも特定の時刻における注意分配を推定する必要はなく,日毎の認知機能の揺らぎや注意分配機能の経時的な変化を取り合帰ればよいと考えている.加えて,介護施設のスタッフと意見交換を行いながら,日常様子の中から注意分配が現れやすい場面を取り出すことを進める予定である.
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Research Products
(2 results)