2017 Fiscal Year Annual Research Report
変形と固着滑り分布の物理計算に基づく力触覚的質感提示を有するバーチャルリアリティ
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17H01774
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
長谷川 晶一 東京工業大学, 未来産業技術研究所, 准教授 (10323833)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三武 裕玄 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (30613939)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 力触覚レンダリング / 質感 / 固着滑り / 摩擦 / Position based dynamics / Proxy |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、固着滑りを現実に近い摩擦係数モデルに基づいて力触覚レンダリングした場合と、現実の触察の計測を比較し、力触覚レンダリングのパラメータ同定を行った。 静止摩擦係数が静止接触時間に対数比例して増加することが知られている。当初この摩擦モデルを通常のProxy法に組み込んでいたが、固着滑り運動を再現するために必要なProxyの動力学シミュレーションの安定性が、Proxyの質量やばねダンパ係数に依存してしまい、パラメータの同定ができなかった。 そこで、拘束条件を解くことでProxy位置を計算するProxy法に、Position based dynamicsを利用して摩擦モデルを組み込むことで、任意のパラメータでシミュレーションと力触覚レンダリングを安定に計算することができるようになった。 この力触覚レンダリングのモデルのパラメータを同定するため、現実の触察動作時に指に生じる加速度を指先(爪)に加速度センサを取り付け、ケント紙を触察することで計測した。この結果、滑り出しの後、固着滑りの周期がだんだんと小さくなり、消滅するなど、質感に影響すると考えられる固着滑り現象を再現することができた。力触覚レンダリングモデルが同様の加速度波形を発生するようにモデルのパラメータ(質量、ばね・ダンパ係数、時変摩擦係数のパラメータ)を調整したところ、現実に非常に近い周期の固着滑りを発生させることができた。固着から滑りに移行する際に生じる振動については、減衰振動を付加することで再現した。 一方、現実の加速度変化では、固着から滑りに変化する際に加速度が徐々に増加するが、力触覚レンダリングでは再現ができなかった。これは、今年度間に合わなかった分布モデルの必要性を示していると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
固着滑りの分布のシミュレーションモデルの構築を行うことができなかったが、時変摩擦係数モデルの力触覚レンダリングへの組み込みに新たな問題を発見し、その解決方法を提案すること、それにより、現実の摩擦振動に非常に近い周期の固着滑り現象を再現できたことから、予定通りではないものの、目的に向けて順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
ケント紙については、現実と非常に近い周期で固着滑りを再現できたので、他の材質についても同定をまず行い、力触覚レンダリングと現実の触察の質感を比較したいと考えている。 その後、固着滑りの分布のシミュレーションを実現するため、Oriented Particleを用いた変形モデルと、摩擦状態を持つ多数の接触点のモデルを複合させ、シミュレーションする力触覚レンダリングモデルとそのシミュレーションの開発を行いたい。
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