2017 Fiscal Year Annual Research Report
モジュール性を有するニューロ進化に基づく創発デザインに関する研究
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17H01795
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊庭 斉志 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (40302773)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長谷川 禎彦 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (20512354)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 進化計算 / 遺伝的プログラミング / 遺伝的アルゴリズム / 遺伝子ネットワーク / 動的適応系 |
Outline of Annual Research Achievements |
一般に人工物の設計には数多くの変数と部分的な依存関係が存在するが,ニューラルネットや進化計算による実現ではそれらの間の因果関係を適切に推定する必要がある.たとえば最近では機械学習(転移学習やビリーフ・プロパゲーション)を応用した手法もいくつか提案されている.これらの手法はある程度有効ではあるが,状態数やカテゴリ数を事前に与える必要があり複雑な問題への適用は困難であった.こうしたことをふまえて,平成29年度の研究ではスケーラビリティを考慮しながら,複数の変数と部分構造の因果関係を的確に導出するノンパラメトリックな推定法や非線形力学に基づく解法の実現を試みた.このメカニズムの解明はモジュラ性を制御して,部分解から全体解を的確に導く性質の理論的基盤となる. 具体的には,ニューロ進化の基本的なデータ構造であるグラフや木構造のような離散構造に対してディクリレ混合過程,ビリーフ・プロパゲーションなどの統計的学習・非線形力学系解析を利用して効果的に構造を生成するアルゴリズムを実現した.ディリクレ過程混合分布を用いてグラフ構造をクラスタリングする方法はすでに提案されており,研究代表者らは進化計算にもこの手法を適用している.これは生成モデルの混合分布を用いることでクラスタリングを行う手法である.この手法を応用することで,プログラム内の変数と部分構造に関する因果関係モデルに基づいて,プログラムのようなデータ構造のモジュラ性を推定・合成する方法を構築した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニューラルネットワークのような構造のあるデータにおける依存関係についてのノンパラメトリックな推定手法を利用したモジュラ性の推定・再合成の枠組みの構築にある程度成功した.この方法は確率テーブルや条件付確率表などの明示的なパラメータを持たないという利点がある。そのため、創発デザインのためのニューロ進化の的確なモジュラ性の実現のための重要な一歩と考えられる。非線形力学の解析手法を適用することで,ニューロ進化の時間発展における構造の的確な分布推定の実現が期待される. さらに、ディリクレ過程混合分布を用いてグラフ構造をクラスタリングする方法を進化計算に応用した.これは生成モデルの混合分布を用いることでクラスタリングを行う手法である.この手法を応用することで,プログラム内の変数と部分構造に関する因果関係モデルに基づいて,プログラムのようなデータ構造のモジュラ性を推定・合成する方法が構築できた。
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Strategy for Future Research Activity |
創発デザインのためのニューロ進化の的確なモジュラ性を検証し、提案手法をさまざま問題領域に応用し,知能創発の実現を実証する.実証的検証の第一ステップとして,複数・異種のロボット間の協調動作設計や行動計画に応用し,提案手法の有効性をより実際的な領域で検証する.想定するタスクは,与えられた条件を満たすロボットの動作やサービスロボットの誘導プランを効率的に設計するものである.実際の検証実験には,実機ロボットとロボットシミュレータ(OpenHRP, Webots)の使用を予定している.
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