2018 Fiscal Year Annual Research Report
Quantification of integrated material perception for real object appearance and constructing its perceptual model based on optical features
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17H01809
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
内川 惠二 神奈川工科大学, 公私立大学の部局等, 研究員 (00158776)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永井 岳大 東京工業大学, 工学院, 准教授 (40549036)
増田 修 新潟医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (90775967)
吉澤 達也 神奈川大学, 人間科学部, 教授 (90267724)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 質感知覚 / 色覚 / 色彩工学 / 視覚心理物理学 / 統合質感生起モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、実物体を刺激として、その光沢と色度を変化させ、質感評価の実験を行なった。実物体にはポリ塩化ビニル製のプラスチック波板を用い、この実物(20 x 16 cm)を2D分光放射輝度計により撮影し、元画像(台形:底辺580, 上辺512 X 縦280 pix)を作成し、ピクセル毎に分光反射率を求めた。測定時に照明光と放射輝度計にそれぞれ偏向板を取り付け、この2枚の偏光板の相対角度により刺激の光沢を変化させた。刺激の色度は測定した画像の拡散反射成分のみを用いて変化させた。これにより3種類の光沢、3種類の色相、3種類の彩度からなる27枚の刺激を作成した。 実験では、異なった2個の刺激を併置呈示し、被験者は刺激全体の質感の見えの差を評価して、差が大きい(4)から小さい(1)までを4段階で応答した。被験者は色覚正常者11名を用いた。実験結果として、各刺激対(全351対)に対する統合質感の差に対する応答(1~4)が得られ、全被験者の平均値を各刺激対の質感評価値とした。 質感評価の予測式として、LAB色空間における各刺激画像の全ピクセルの輝度値(L*)と色度値(a*, b*)を計算して、その分布からn次統計量(平均値、分散、歪度、尖度)の画像特徴量を計算する。各刺激対で画像特徴量の差を求め、その差の平方和を予測値とする。質感評価の応答値と予測値の回帰直線から各画像特徴量の差の係数を決めた。 さらに、MacLeod-Bpynton色度(redness, blueness)と輝度値(luminance)を用いて同様な解析をした。この結果、M-B空間では予測式は相関係数(r)の2乗が0.88となり、良好な予測結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、実物体を用いて統合質感評価の実験を行い、予測式を求め、極めて良好な結果が得られた。これは本研究の目的の一つである実物体外観の統合質感の定量的な評価方法の確立に極めて近いたことを意味する。さらに、偏向板を用いて、実物体の光沢と色を別々に処理する方法をここで新たに確立した。したがって、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、刺激としてプラスチック波板以外の実物体を用いて、予測式の予測精度を確認する。さらに、物体表面の画像特徴量から統合質感を生起するモデルを構築して、視覚系の統合質感生起メカニズムの解明を目指す。新しい心理物理実験により質感生起モデルの検証を行う。
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