2017 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17H01812
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
澤井 哲 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20500367)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 晃子 北里大学, 理学部, 教授 (00322157)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 細胞遊走 / 入出力関係 / 細胞運動 / 走化性 / 免疫細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫細胞などの速い細胞の動きは、誘引分子濃度の空間勾配だけでなく、その時間変化、履歴、ノイズ成分などによって運動が変調される。これらの特性と、細胞が複雑な環境下で目的の場所に正確に到達することの関係を理解するためには、外部刺激のいかなる成分が読み取られ、運動のどの成分に変換されているが、その詳細の解析が欠かせない。本研究では、免疫細胞と粘菌を中心とした生細胞イメージング測定を、マイクロ流体デバイスを用いた動的な刺激制御と組み合わせておこなっている。本年度はヒト好中球様の培養細胞HL60 について、誘引分子としてfMLP(細菌が産生するペプチド)への、細胞運動の特徴、ならびに細胞運動を制御する細胞内シグナルの活性変化を、蛍光プローブを用いて可視化測定した。このために、Cdc42, Ras, Racの各種FRETプローブ、PI3キナーゼ活性化をAkt/PKBのPHドメインとGFP,RFP(以後FPと略)の融合タンパクを発現するHL60細胞の安定発現株をそれぞれ作出した。これらの細胞株を用いて、シグナル因子の活性化動態を定量的に解析した。勾配の時間的変化、反転操作には、低い天井高の観察領域流路を天井高のソースチャンバーで挟んだ、二層のマイクロ流路を用いた。申請者らがこれまで培った精密な圧力制御によって変動させる勾配刺激のもと、先導端形成の生細胞イメージングをおこない、応答特性を特徴付け、同時に、細胞形状の定量化をおこなった。さらに、微弱なシグナルの検出と細胞の自発運動の関係について統計的な解析を可能にするための高スループット測定用のチャンバーを開発した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
高スループットデバイス開発が遅れたため、これを用いた解析、研究成果取りまとめがずれこんだ。これは、当初、計画していた微小流路のデザインでは、予想外に細胞の導入効率が悪いことが判明したためであり、取得デー タの質の確保、高スループット化の点から重要であるため、細胞の導入効率を改善するための、 微小流路のデザインを設計、作成をし直した。
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Strategy for Future Research Activity |
高スループット系のあらたなセットアップを用いた測定を開始することができたため、細胞化のばらつき、刺激の微弱さなどと、細胞応答のランダム性の間の関係の定量化に挑む。HL60細胞に光遺伝学の系を導入し、ケージド化合物と併用することで、先導端形成シグナルの動態を共焦点顕微鏡下で生細胞測定しながら、制限された空間領域に誘引物質の刺激列を印加する、さらには細胞内のシグナル活性を時空間的に制御することを計画する。
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