2018 Fiscal Year Annual Research Report
Application of supramolecular graph system to GWAS analyses
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17H01818
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Research Institution | Nagahama Institute of Bio-Science and Technology |
Principal Investigator |
白井 剛 長浜バイオ大学, バイオサイエンス学部, 教授 (00262890)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 生命分子計算 / 生体超分子構造 / ゲノムワイド相関解析 / 分子間相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度の成果として、これまでにグラフによる超分子モデル構築とGWAS(全ゲノム相関解析)データを組み合わせた解析から発見された疾患関連超分子(同一複合体の複数のサブユニットに同一GWAS形質が有意に多くマッピングされる)の解析を行い、これらのサブユニットの多くはリン酸化反応を介したシグナル伝達系のタンパク質であり、70%程度がessential geneにコードされ、相互作用の点からハブタンパク質の割合が高いことを見出した。また、これらの疾患関連超分子のうち900程度には複数のGWAS疾患や表現型がアサインされるが、関連変異がマップされるサブユニットが異なるGWAS間で同一ではないモデルが642個存在し、暫定的な文献検索では434のGWASペアについては明確な関連性がまだ指摘されていなかった。これらの疾患関連超分子モデルは異なるGWAS型質(疾患や体質など)の関連を解析するために利用可能と期待される(論文作成中)。さらに平成30年度は、承認された医薬品薬のデータを超分子ネットワークグラフに追加した。これは医薬品の分子構造をデータベース化するとともに、薬効(ATC分類)、対象疾患(ICD-10/11)、およびターゲット分子(タンパク質)の情報を加えたもので、これによって超分子グラフによってドラッグターゲット遺伝子-疾患-ドラッグの関係を解析できる基盤が構築された。このグラフによる暫定的な解析結果として、典型的ターゲット創薬である承認薬-ターゲットタンパク質-疾患関連遺伝子(タンパク質)がグラフで直接接続される例は、全体の10%を下回り、そのほとんどが抗がん剤である事がしめされた(論文作成中)。一方、タンパク質の組織別、時間発展別の発現量をグラフにとりこむ事にも着手したが、平成30年度内に完了することができなかった。このグラフ改良については31年度も継続して実施する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
おおむね計画通りに実施できたが、当初目的としたタンパク質の組織別、時間発展別の発現量をグラフにとりこむことが完了しなかったため、やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度計画で未完であった、タンパク質の組織別、時間発展別の発現量をグラフ取り込みを優先して実施する。遺伝子発現データベースExpression Atlas(https://www.ebi.ac.uk/gxa/download.html)の組織特異的あるいは状態依存発現データを組み合わせることで、本研究の主目的である超分子構造の動的変化の情報を実装して超分子ネットワークグラフを拡張する。また平成30年度の成果として示された、同一超分子複合体にマップされる複数のGWASの解析から、複合疾患や排他的疾患の解析に応用する方法、および疾患関連超分子複合体内でGWASがマップされないサブユニットの解析から、新規疾患関連遺伝子の予測を行う方法も引き続き探求する。特に、平成30年度の成果である承認薬の薬効(ATC分類)、対象疾患(ICD-10/11)、およびターゲット分子(タンパク質)のグラフから、新規ターゲットタンパク質やドラッグリポジショニングの情報を抽出する手段の開発を行いたい。このようにして拡張された超分子ネットワークグラフを疾患メカニズム解析に応用し、得られた結果を取りまとめて学会発表や論文報告を行う。
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