2017 Fiscal Year Annual Research Report
グループSUMO化によるゲノムとプロテオームの損傷応答
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17H01878
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
斉藤 寿仁 熊本大学, 大学院先端科学研究部(理), 教授 (50211925)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | SUMO / ユビキチン / アミロイド / 核構造 / クロマチン / タンパク質分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度9月までに以下の研究課題i)とii)を並行させて実験するつもりだったが、予期せぬ結果を得たため予算を繰り越しして、実験を延長することとした。 i)化学物質と放射線によるゲノム損傷とグループSUMO・RNF4経路の解析 ii)化学物質と放射線によるプロテオーム損傷とグループSUMO・RNF4経路の解析 予期せぬ結果というのは、DNA損傷やタンパク質の分解阻害におけるSUMOやユビキチン経路の活性化ともにアミロイドタンパク質の蓄積を観察したことで、この結果が、本申請の目的により本質的なことを示唆すると考えた。すなわち、SUMO化やユビキチン化の標的タンパク質が翻訳後修飾と共に、そのタンパク質構造をも変化させている可能性が考えられた。実際に、アミロイド染色試薬であるthioflavin T、thioflavin S、コンゴーレッドを用いた核構造体の検出を行ったところ、核小体やPMLなど、これまでにグループSUMO・RNF4経路と関連すると考えられていた核内構造体を検出出来た。この結果は、SUMO・ユビキチン・RNF4経路によるタンパク質の品質管理においてタンパク質の構造変化およびその変化の結果、アミロイド形成が誘導される可能性を示唆するものと考えた。一方、PMLにおけるアミロイド染色は刺激を除いた後に染色されなくなることから、可逆性のあるタンパク質の構造変化を伴うもの、あるいは速やかに分解を受けるものと推察された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
核内におけるアミロイドタンパク質の蓄積という新たな概念を得て、本申請を深化・展開できる。3つのアミロイド染色法を確立した点は大きな進歩であったと考えている。また、分裂期の刺激を検討する中で、微小核を形成する刺激を見出し、新たなシグナル伝達経路の探索につながると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画を若干変更した、 i)化学物質と放射線によるゲノム損傷とグループSUMO・RNF4経路の解析 の課題について、微小核の形成、維持、運命決定におけるシグナル経路に発展させていく。 もう一つの、変更課題 ii)化学物質と放射線によるプロテオーム損傷とグループSUMO・RNF4経路の解析 については、アミロイド形成に対象を広げて、さらにタンパク質の品質管理についての解析を進めていく。
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