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2018 Fiscal Year Annual Research Report

下水処理プロセスを担う原生動物の代謝基盤の解析と微生物間代謝ネットワークの解明

Research Project

Project/Area Number 17H01901
Research InstitutionUniversity of the Ryukyus

Principal Investigator

新里 尚也  琉球大学, 熱帯生物圏研究センター, 准教授 (00381252)

Project Period (FY) 2017-04-01 – 2022-03-31
Keywords細胞内共生 / 原生動物 / 嫌気 / メタン / バクテリア
Outline of Annual Research Achievements

本研究では、下水処理プロセスより長期培養に成功した数少ない原生動物株であるトリミエマ原虫を用いて、その生物活性を支えていると考えられる共生微生物の役割について明らかにすることを目的としている。本年度は、これまでに全長解読に成功したバクテリア共生体TC1のゲノム構造について解析し、トリミエマ原虫内におけるTC1共生体の役割について論文としてまとめて投稿した。しかしながら、論文は不採択となったことから、現在、審査員による指摘事項を改稿して再投稿の準備を進めている。
一方で、新たに沖縄県内の下水処理施設より培養化に成功した嫌気性原生動物、GW7株について、単細胞分離によるクローン化と18SrRNA遺伝子による分子分類を行った。その結果、GW7株はCyclidium porcatumとして報告された種に比較的近縁な新規原生動物であることが示された。しかしながら、Cyclidium porcatumは、他のCyclidium属原虫と系統的に大きく離れており、帰属を見直す必要があると考えられた。また、GW7株の細胞内に生息する共生体の分子系統解析ならびに、蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)を行った結果、Methanoregulaに比較的近縁なメタン生成菌とα-プロテオバクテリアに属するバクテリアの2つの共生体を保持していることが明らかとなった。超薄切片の電子顕微鏡観察の結果、この2つの共生体は両者とも原生動物の水素生成オルガネラである、ヒドロゲノソームに密着して存在していることが明らかとなった。ここまでの結果については、GW7株のバクテリア共生体の機能に関する考察を含めて現在論文を執筆中である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究の申請当初の計画では、H30年度までにトリミエマ原虫とその2つの共生体の機能推定、ならびに代謝ネットワークの解明を目指していた。これまでに、バクテリア共生体TC1のゲノム情報ならびに、宿主であるトリミエマ原虫のRNAseqのデータを解析することにより、TC1が脂肪酸合成を積極的に行って宿主へ供給している可能性を示した。H30年度は論文を執筆して投稿まで進めることができたことから、本課題は当初の計画どおりに進捗していると言える。
もう一方の原生動物株であるGW7株については、2つの共生体の帰属を16SrRNA遺伝子の解析により推定することができた。これは当初、H31年度に実施する内容であったことから、本項目は予定より進展していると言える。しかしながら、両原生動物の長期保存技術の検討については、予備検討として凍結保護剤の添加による凍結保存法を検討したものの、これまでに復元できる条件を見出すに至っていない。本課題はH31~32年度(R2年度)にかけて保存法を確立する予定となっており、引き続き条件検討を進める予定である。上記の理由により、全体計画の進捗状況としてはおおむね順調に進展していると判断した。

Strategy for Future Research Activity

これまでの進捗状況からおおむね良好であるものの、原生動物の保存方法確立やメタン生成菌のゲノム解析については取り組みが遅れていることから、今後はこれらの点の進捗に留意しつつ進めていきたい。
GW7株については、これまでの解析結果から共生体の帰属や宿主細胞内での分布といった点を明らかにすることができた。しかしながら、その一方で宿主原虫がどのような代謝産物を生産するのかといった基本的な情報が得られていないことから、今後は有機酸を中心とした代謝産物の解析が必要である。また、共生体を抗生物質で処理することにより代謝産物がどのように変化するか解析することで、それぞれの共生体の宿主代謝への寄与を推定することができると思われる。
上記の研究推進に加え、これまでの研究結果の論文投稿を進めており、これらを確実に掲載していく必要がある。

  • Research Products

    (2 results)

All 2018

All Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results) Book (1 results)

  • [Presentation] Endosymbiotic interaction in anaerobic ciliates with methanogens and bacteria2018

    • Author(s)
      Kazutaka Takeshita, Takanori Yamada, Yuto Kawahara, Takashi Narihiro, Yoichi Kamagata, Naoya Shinzato
    • Organizer
      32nd Annual Meeting of Japanese Society for Microbial Ecology & 10th Asian Symposium on Microbial Ecology
    • Int'l Joint Research
  • [Book] (Endo)symbiotic Methanogenic Archaea (Microbiology Monographs Book 19) 2nd Edition2018

    • Author(s)
      Naoya Shinzato, Kazutaka Takeshita, Yoichi Kamagata
    • Total Pages
      261
    • Publisher
      Springer
    • ISBN
      978-3319988351

URL: 

Published: 2019-12-27  

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