2017 Fiscal Year Annual Research Report
黄砂の触媒作用による有害PAH酸化体の大気内二次生成:越境輸送と健康影響
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17H01906
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
亀田 貴之 京都大学, エネルギー科学研究科, 准教授 (50398426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本田 晶子 京都大学, 工学研究科, 助教 (20454324)
高野 裕久 京都大学, 工学研究科, 教授 (60281698)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 大気汚染 / 黄砂 / 多環芳香族化合物 / 二次生成 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、黄砂表面の反応によって生成する可能性のあるPAHキノンについて、生体影響との関連を明らかにすることを目指し以下の実験を行った。 正常ヒト気道上皮細胞株BEAS-2B細胞を使用し、細胞活性を、Water soluble tetrazolium-1(WST-1)を用いた比色法により、Apoptosis、Necrosisの検出を、ANNEXIN V-FITC/7-AAD KITを用いた検出法により、interleukin(IL)-6、IL-8、soluble intercellular adhesion molecule(sICAM)-1などのサイトカインの産生を、Enzyme linked immuno sorbent assay(以下ELISA)法により、酸化ストレス評価をReactive Oxygen Species(ROS)生成の測定により、それぞれ解析した。被検物質として、4,5-ピレンキノン(4,5-PyQ)、1,8-PyQ+1,6-PyQ、ピレンを用いた。 ピレンが殆ど毒性を示さなかったのに対し、そのキノン体である4,5-PyQ、1,8-PyQ+1,6-PyQには毒性が確認された。特に4,5-PyQは低濃度でも著しい細胞活性の低下と細胞死を示し、1,8-PyQと1,6-PyQの混合物よりも強い毒性を持つことが示された。また、それは細胞内外のROS産生が一部関与している可能性が考えられた。催炎症性の液性因子(IL-6, IL-8, sICAM-1)の産生は、一部の曝露濃度に呼応して増加も観察されたが、キノン体の高濃度での急激な減少の方が目立ち、これは、急激な細胞死により減少したと推察される。従って、ピレンよりも、そのキノン体の方が、呼吸器疾患の悪化に深く関与する可能性があり、酸素の配位置によってもその影響が異なることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
黄砂表面で二次生成する可能性があるピレンの酸化体(キノン)について,その生体影響評価を初めて行うことができ,その結果ピレンキノンが大気環境科学上極めて重要な毒性物質であることを世界に先駆けて明らかにすることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は生体影響評価と並行して,PAHキノンの黄砂上非意図的生成に関わる反応について,実験系を用いた反応実験および実大気観測を行い,A)黄砂によって触媒される大気内PAHキノン生成反応過程の解明,B)実大気中の黄砂表面における有害PAHキノン生成の検証を行う。
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