2017 Fiscal Year Annual Research Report
Cooperation between municipal solid waste incinerator and wastewater treatment plant by the integrated methane fermentation of sewage sludge and kitchen waste
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17H01920
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大下 和徹 京都大学, 地球環境学堂, 准教授 (90346081)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤森 崇 京都大学, 地球環境学堂, 助教 (20583248)
日高 平 京都大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30346093)
高岡 昌輝 京都大学, 地球環境学堂, 教授 (80252485)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 都市ごみ焼却施設 / 下水処理施設 / し尿処理施設 / 下水汚泥 / 厨芥類 / 脱水 / メタン発酵 / し尿汚泥 |
Outline of Annual Research Achievements |
現状調査の結果、下水汚泥、およびし尿汚泥の混焼を行っている都市ごみ焼却施設数は、全体の約2.4%、および約19%であった。これらの施設へのアンケート調査から、都市ごみ焼却施設と下水処理施設、およびし尿処理施設の施設間距離の算術平均値はそれぞれ約13km、および6kmであること、混焼率はそれぞれ約9%、および約3%であることが明らかになった。 次に、全国の都市ごみ焼却施設と、下水処理施設、およびし尿処理施設のすべての位置や基礎情報を、Google MAP上にマッピングし、これを利用して、混焼と混合メタン発酵を連携シナリオと場合の、連携処理可能な施設数の抽出や廃棄物量の試算をおこなった結果、総下水汚泥量(乾燥ベース)の15.3%が新たに混焼できるが、混合メタン発酵では新たに処理できるのは1.2%程度に留まることが示された。またし尿汚泥の場合は、約40%が新たに混焼可能であることが明らかとなった。 混合メタン発酵の実験的検討としては、まず下水汚泥単独と組成を変えた都市ごみの中温湿式メタン発酵実験を、有機物負荷を統一させて行った。その結果VS分解率は下水汚泥で59.8%、厨芥類で82.9%となった上、紙ごみの混合比(乾燥ベース)が20%増加するごとに約3.5%ずつ減少した。下水汚泥単独、厨芥類のバイオガス発生量はそれぞれ1.11L/day、2.18L/day、であり、紙類の混合比(乾燥ベース)の増加により、バイオガス発生量が減少する傾向が確認された。また厨芥類に含まれる塩素はメタン発酵により95%程度が液相に移行するものと推測された。 上記の実験により得られたメタン発酵残渣を対象として、中カチオン高分子凝集剤を用いたベルトプレス脱水実験を行った結果、下水汚泥と厨芥類単独はほぼ同等の含水率(80%)であったが、紙類の混合比(乾燥ベース)の増加に伴って脱水ケーキ含水率の低減およびSS回収率の増加が見られた。これには、紙類に含まれる繊維分やリグニンが寄与していると推測された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下に5つのサブテーマごとに進捗状況を示すが、これらを総合的に判断し、研究全体として、おおむね順調に進展していると考えている。 1.都市代謝施設間の連携可能性:全国の都市ごみ焼却施設や下水処理施設、し尿処理施設をGoogle MAP上にマッピングし、連携処理可能な施設数や連携により処理可能な廃棄物量をすでに定量的に明らかにしている。当初の計画以上に進展している。2.混合メタン発酵:各廃棄物単独でのメタン発酵特性を把握しその比較評価を完了している。おおむね順調に進展している。3.発酵残渣の脱水とそのメカニズムの解明:上記で得られた、メタン発酵残渣の脱水特性を評価し、各廃棄物での比較を完了している。おおむね順調に進展している。4.都市ごみと下水汚泥の混焼実験やそれにより得られる焼却灰組成の変化:成果が出るまでは至っていないが、当初予定の実験準備は進んでおり、概ね計画通り進展している。5.連携システム全体のライフサイクルアセスメント(LCA):サブテーマ2、3の実験結果が、本項目の基礎データとなる上、検討に必要な種々の文献データの収集を進めており。概ね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度に明らかとなった全国の都市代謝施設の位置情報や分布、またそれらの連携ポテンシャルを再度見直し、特に、下水汚泥の肥料化などマテリアルリサイクルがすでに導入されている場合は、連携処理に仕向けない場合の連携ポテンシャルを明らかにする。このため下水汚泥については、全国の下水処理場において、その最終処分先や最終有効利用先を明らかにし、そのデータベースを追加する。 厨芥類と下水汚泥に加え、平成30年度は農業集落排水処理設備や浄化槽から排出される汚泥も用いて、混合メタン発酵実験実施する。評価指標としては、有機物分解率、バイオガス、およびメタン収率を明らかにし、最適条件やその適用範囲を示す。また混合比率や組成をパラメーターとしたガス発生量、発酵残渣発生量を予測できるモデルを構築する。 上記の実験にて発生した発酵残渣について、平成29年度に引き続き脱水性を評価するため脱水実験を行う。下水汚泥や、厨芥類単独のメタン発酵残渣に比較し、適合する高分子凝集剤の変化や含水率の変化に加えて、圧搾圧力(あるいは遠心力)と脱水速度から、ろ過理論(あるいは遠心分離理論)と土質力学分野で用いられるTerzaghi圧密理論による解析を行う。また脱水汚泥のX線CTスキャン分析を試み、脱水メカニズム解明の足がかりとする。さらに、脱水分離液の水質についても比較評価する。 次に、発酵残渣と都市ごみとの混焼による、N2O排出特性や、得られた焼却灰のキャラクタリゼーション、および重金属等の溶出挙動、ダイオキシン類の再合成能を評価する。得られた灰の性状把握には、重金属を含む各元素の含有量に加え、X線吸収分光分析により灰中重金属の化学形態を測定する。 最終的に、連携しない場合と連携する場合を比較したシステム全体評価を行うため平成30年度はそのデータ収集や実験データの蓄積を引き続き行う。
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