2017 Fiscal Year Annual Research Report
途上国における住民のオーナーシップ向上を目指した水利用システムのデザイン手法
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17H01936
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Research Institution | Toyo University |
Principal Investigator |
荒巻 俊也 東洋大学, 国際学部, 教授 (90282673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大瀧 雅寛 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (70272367)
窪田 亜矢 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任教授 (30323520)
大瀧 友里奈 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (50422382)
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Project Period (FY) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 水利用システム / 多元的水源 / 住民選好 / 住民意識 / 途上国 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、急速に都市化が進行する途上国都市圏の水供給システムが抱える問題を解決するため、現場に即した実践的な方法論の検討を行い、持続可能なシステムへの転換をはかることを目的としている。具体的には、ベトナム・ハノイ都市圏およびスリランカ・ゴール市域を対象として、(1)用途別水需要量とそれに見合う複数水源の水質を把握し、水源の水質管理のための排水対策も含めた水利用システムのオプションを検討するとともに、(2)住民が受入れ可能な水利用オプションの検討、あるいは受入に影響を与えている要因や住民の水利用に対する意識や行動を明らかにする。また、(3)公共水道の導入と公共水域の管理の事例をもとに、住民の主体的な参加のための方法を検討することにより、地域住民のオーナーシップ(当事者意識)を高めつつ、適切な水利用システムをデザインするための手法を検討する。 ハノイ都市圏では、近年公共水道が導入され水利用に変遷が生じている地区(Mau Long)を対象として、水利用状況や水源水質の他、公共水道導入前後の水利用の変化、および水利用に対する意識や意見の変化について分析を行うとともに、同地区での公共水域における水利用や公共水域の管理がどのように変わったのかについて調査・分析を行った。公共水道の普及とともに公共水域の利用形態が変わり、さらにその管理への意識や貢献度合いも変化していることが確認された。 ゴール市域では、小型流量計の導入による用途別水利用の調査を実施した。また、導入世帯における水利用行動や意識に対する調査を行った。その中で、雨水利用のポテンシャルが考えられるが、地域住民の雨水への意識の問題からその導入が進んでいない状況が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ハノイ都市圏での調査では、当初3タイプの異なるタイプのコミュニティの調査を予定していたが、現地研究協力者と協議した結果、公共水道が普及したばかりのコミュニティでの調査が実施可能となったため、当該地域で重点的な調査を行うこととした。その結果、公共水道の導入が公共水域の利用や管理に影響を与えている状況が確認され、地域住民の意識に影響を与えていることが示唆された。 スリランカ・ゴール市域での調査は、現地研究協力者との円滑なコミュニケーションが図れ、想定していた通りの世帯数を対象に調査を実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究開始当初は「見える化」が可能な小型流量計およびその適切なインターフェースの開発と実装についても研究項目として加え、ゴール市域での調査において実装することを検討していたが、今年度の調査状況から雨水利用や排水管理も含めた多元的水利用システムのポテンシャルをきちんと評価することが市民の主体的な水管理において重要と判断されたこと、さらに限られた予算の効率的な利用という観点から、多元的水利用システムのポテンシャル評価を重点的に実施していくこととする。
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Research Products
(3 results)